水城なつみ 大阪流行歌ライブで新曲「寒牡丹」披露

 郷土愛あふれる「納豆音頭」で〝つくばの歌姫〟として知られる演歌歌手、水城なつみ(30)がプロ歌手12年目に入り、久々に関西入りし「大阪発流行歌ライブ」に出演。明るい性格全開のトークと、しっとりとした母娘の歌「寒牡丹」を披露。観客を硬軟取り混ぜた〝なつみワールド〟に引き込んだ。

歌いながらも笑顔が愛くるしい水城

 茨城県つくば市出身で幼い頃から演歌と民謡得意の娘だった。高校生の時に「キングレコード歌謡選手権」グランドチャンピオンになり、卒業を待って2013年春にプロデビュー。昨年は10周年として、しっとり演歌「あかつき情話」(作詞・日野浦かなで、作曲・宮下健治)とリズム歌謡「恋のパシュート」(作詞作曲、柏清大)の全然毛色の異なるCD2枚を出した。

 今回のCDも、「寒牡丹」とカップリング曲「トラック野郎おとこ旅」の作詞・作曲は、前作CD2枚と同じ作家の組み合わせ。「そうなんですよ。緩やかに歌い上げ心にしみる演歌も好きだし、早くてテンポの良い元気の出る歌もやりたい。そんな私の願いを先生方が聞き入れてくださいました」と水城。

 「トラック野郎~」は水城の人生を投影している。祖父と父が2代続いたトラック運転手、大相撲力士だった弟(24)はこのほどケガのために現役引退し父の後を継ぐために物流関係の仕事に就いている。雨風に負けず今日も山野を走るプロドライバーをリスペクトし、チラッと「国道6号」の歌詞も。「アハッ、通称・水戸街道でウチのすぐそばです。家族皆が〝念願かなった!〟って喜んでくれています」と屈託がない。

ライブ終了後のCD即売でファンの2ショット写真に応じる水城(中央)

 「流行歌ライブ」のステージでは、トークで観客を笑顔いっぱいにさせた。笑いの本場・大阪でも無理せず自分の方言で語り掛け、手拍子と掛け声で曲への参加を呼び掛け。いつの間にか見る人を明るくさせる天性のひょうきんさがにじみ出る。

 歌の表現力は天才肌なので、あえて歌い込まず歌詞に入り込み過ぎず表現することを心がけている。この部分が最高に生かされるのが毎回出場しているフジテレビ系「オールスター合唱バトル」。今年は7月14日㈰夜7時から放送の特番だが、水城は皆勤の4回目出場。

勢揃いした6月度「大阪発流行歌ライブ」の出演者。右から2人目が水城なつみ

 「課題曲は個別で練習して何人かでリハーサルし、全員合同で歌うのは本番だけ。コブシを利かせたりの演歌テクは一切無しで男女がそれぞれのパートをピタッと合わせる。毎回楽しみです」と笑顔に。水城は元々女性では一番高いソプラノを受け持っていたが、音程の確かさを買われて今回は最も低いアルトに回った。「低い音って格好いいじゃないですか、やってみたかったんです。全然苦しくなかったです」とケロリとしているが、相当広い音域をカバーできる絶対音感と声量の持ち主の証拠でもある。

 所属のキングレコードから今春、11年ぶりの演歌新人・小山雄大がデビューした。「長い間、私が一番の若手だったんです。だからどう接していいのか分からない。緊張しますけど、うれしいですね!」とまたニッコリ。この性格の良さが最大の長所。プロは個人の競争社会ではあるが、水城のステージはいつも〝歌が好き、トークが好き〟精神が満ちみちている。

(畑山博史)

新曲「寒牡丹」の衣装は珍しいシックな牡丹柄での振り袖。「私がネット上で発見。即、購入しました」と水城