自ら作曲した知里の新曲「シークレットラブ」と「夢陽炎」 「30代ぐらいの男性に聴いてほしい」

 中堅の演歌歌謡歌手、知里(ちさと)が自身作曲の新曲「シークレットラブ」と「夢陽炎」を引っ提げて、大阪・ミナミのライブハウスで開催の「大阪発流行歌ライブ」に初出演。戦後間もない時期の名曲「イヨマンテの夜」(歌・伊藤久男)を含む計8曲を歌い上げた。途中で満員の客席を回るサービスぶりにファンは大喜び。

大阪流行歌ライブで熱唱する知里

 知里は一般に〝日芸〟の通称で通るアーティストの名門校・日本大学芸術学部の音楽学科声楽コース卒業。さらに同大学院を修了し中・高の音楽教員免許を取得、その過程で韓国の名門・梨花(リファ)女子大、西江(ソガン)大に留学し、専攻したのはクラシックのドイツオペラ。学習の一環として英語など外国語の歌唱を得意とし、ジャズ歌唱大会に出てみたらいきなり準優勝。それを会場で見ていた地元・千葉テレビのプロデューサーに「歌謡曲をやってみない?」と声を掛けられたのをきっかけに、演歌・歌謡曲の世界に飛び込んだ。

大阪発流行歌ライブの満員の客席を巡る知里

 これまでにも何曲か自作していたが来年がデビュー15周年に当たるため、今年は新曲を自作することに。作詞家・伊藤美和が既に完成していた3作を提供。知里自身が上記の2作を選び、ピアノで曲を付けた。「勝手に作曲するのは楽しいけど〝この日までに2作!〟と言われると宿題みたいで…」と悩みながら、スマホをメトロノーム代わりに作曲に取り組み。「〝シークレットラブ〟は言葉数が多いので、その分テンポよく。スムーズにできあがって味しめて〝しめしめ〟とカップリングも。自分で作ったから思い入れ強い。どんどんキャンペーンの予定を入れています。曲調としては30代ぐらいの男性に聞いてほしい」と楽しそう。

衣装の工夫も自分で。この日は夏らしく浴衣姿に変身

 赤と黒を基調にした衣装も自分でアイデアを出した。「80年代の荻野目ちゃん(荻野目洋子)みたいなアイドルチックなイメージでデザイン画を描いてもらった」と話し、「フワッとしているので軽くて動きやすい」と気に入っている。

 9月15日昼に2回公演各18人限定で「高槻夏ライブ★ノリちゃんを想って」を高槻W&Mホテルで開く。主催は知里関西後援会。ノリちゃんの通称で彼女の関西での活動をサポートしていたマネジャー役の女性が急逝。ノリちゃんを悼んでホテル内ピアノを使い、自身が弾き語る。「ジャズ歌手Hiromiさんとジョイントして、一緒に楽しんでもらいたい」と張り切る。

新曲「シークレットラブ」のCDジャケット

 先の「大阪発流行歌ライブ」では、持ち歌を中心に歌いラウンドと呼ばれる客席回りも行った。次々とプレゼントが手渡され、ライブ後のCD販売では長い行列が出来て、ファンと会話を交わしながら手を止めず色紙にサインペンを走らせた。

 「楽しかったね。こうやって独りで全国を回ってライブやキャンペーンできるのは流行歌手だけだから」と屈託無く笑う。クラシック出身者がなかなか抜け出せない堅苦しさが全く匂わない希有な存在。「10年以上演歌歌謡曲を歌ってきて、同年代の女性がママさんになり各地で子連れ応援して下さるようになった。来年は行った事のない地にぜひお邪魔したい」と早くも夢を広げている。

(畑山博史)