福良(ふくら)港の「淡路人形座」が実施
夏の淡路島といえばアウトドアレジャーを連想する人が多いが、鳴門海峡を望む南あわじ市、福良(ふくら)港の「淡路人形座」が、子ども連れのファミリー層から人気を集めている。
「淡路人形座」は、童話離れが進んでいる子どもたちに、少しでも古典芸能の世界観に接してもらおうと、8月15日まで特別公演として、現代風に脚本し直したオリジナル演目「ももたろう」を上演している。同所のスタッフは「涼みながらの古典芸能鑑賞は良い思い出になるはず。家族みんなで楽しみ、さまざまな学びを感じてもらいたい」と話している。
さて、「淡路人形座」の注目のポイントは大きく2つ挙げられる。1つ目は約11年前に建てられた独特の外観で、今や福良港のランドマークとなった「淡路人形座劇場」だ。2つ目は500年の歴史がある淡路島の伝統的な人形芝居「淡路人形浄瑠璃」が身近に楽しめることだ。
「淡路人形座劇場」の設計は、国際的に評価の高い関西出身の遠藤秀平氏の手によるもので、外観を一見すると古典芸能の劇場には見えない、曲面で構成されたモダンな建築デザインとなっている。中に入ると、座席に竹素材を活用した純和風の内装で、来場者は「竹の丸みを生かした座席はすこぶる心地よくて、古典芸能の世界に引きこまれます」と話している。
常時、この劇場で演じられるのは、〝国生(くにう)み〟神話ゆかりの「戎舞(えびすまい)」が起源といわれる「淡路人形浄瑠璃」だ。三人遣いの人形、義太夫(ぎだゆう)、太棹三味線(ふとざおじゃみせん)で演じられる淡路島を代表する伝統芸能となっている。
最盛期だった江戸時代中期の淡路島には40以上の人形座があり、全国各地で人形浄瑠璃を公演していたという。しかし、第二次世界大戦後に消滅の危機に直面。その後の1964年、有志たちが資金を出し合って「淡路人形座」が設立され、伝統を受け継ぎ活動を継承している。現在では1日4回、年間1300回を超える公演を行い、全国各地のほか、海外への出張公演も行っている。
「淡路人形座」の特徴は、▼文楽の技芸員は男性のみ、淡路人形座は太夫、三味線は女性が多い。▼人形が大型で、演者の情感が観客の心をゆさぶる迫力に富む。▼定番となった戒舞で、舞台と観客が一体となって、劇場の雰囲気が盛り上がることだ。
このほか、同所の周辺には鳴門の「うずしおクルーズ」の拠点や、道の駅、地元農産物を取り揃えたの福良マルシェや水産物店、飲食店も多くあり、淡路島コンテンツが濃縮された観光スポットとなっている。
■淡路人形座/兵庫県南あわじ市福良甲1528-1/電話0799-52-0260
ホームページ http://awajiningyoza.com/