履正社(豊中市)が大阪桐蔭(大東市)を3-0で破り、4年ぶり5度目の優勝を飾った「第105回全国高校野球選手権記念大阪大会」。履正社は全国制覇した第101回大会以来となる夏の切符をつかみ、大阪桐蔭は6季連続の甲子園にあと一歩だった。炎天下の両スタンドでは選手の背中を押そうと在校生や保護者らが懸命に声をからした。
「甲子園に行くぞ!」 「ナンバーワン」ポーズ決め
「甲子園に行くぞ!」。履正社の応援団が詰めかけた一塁側スタンドでは、4年ぶりとなる夏の大阪の頂点が決まると在校生らが拳を突き上げ、歓喜の雄たけびを上げた。
今夏の応援団長はスケジュールや応援歌の作成などを担当する船越久嗣さん(3年)と、前面に出て声を出す北野壮汰さん(3年)の野球部員2人体制。決勝では夏休みに入ったばかりの1、2年生が応援に駆け付け、本大会最多の在校生約500人を2人で連携しながら統率した。
「桐蔭に苦手なイメージはないので、先制点さえ取れば乗っていける」と分析したのは北野さん。期待通り、履正社が二回に敵失で先制点を奪うと、応援団の熱気は一気に高まった。
四回には2死満塁で野上隼人捕手(3年)が左前に2点適時打を放ち、守備でも先発の福田幸之介投手(3年)を好リード。父の修さん(49)は「自分の結果ではなく、チームの勝利のために野球を楽しんでほしい」と期待を込めた。
優勝の瞬間、スタンドでエールを送ってきた野球部員らが青空に向かって一斉に「ナンバーワン」ポーズを決めた。目を真っ赤にした北野さんは「メンバーから外れたが、仲間のおかげで2年半やってきたことが報われた」と感極まった様子。船越さんは「勝って夏の甲子園に行けるのがうれしい。春の悔しさを忘れず、挑戦者として履正社らしい野球をしてほしい」と胸を張った。
逆転信じ大声援 大阪桐蔭応援団 選手に惜しみない拍手
3連覇を目指した大阪桐蔭は3安打が散発に終わり、本塁が遠かった。三塁側スタンドに陣取った応援団はゲームセットの瞬間、言葉を失った。
府内最大のライバル履正社を前に、応援団長を務める佐藤友泰さん(3年)は「緊迫すると思うが、準決勝も粘り強く勝てた。自分たちのプレーを」と懸命にメガホンを振った。
期待とは裏腹に3点を追う展開で後半へ。チアリーダー部長の橋野結愛さん(2年)は「ここから逆転してほしい。誰よりも大きな声で気持ちを届けたい」と祈るような視線をグラウンドへ向けた。
願いもむなしく九回、打線が3者凡退に終わると三塁側は静まりかえった。それでもスタンド前に整列した選手たちには惜しみない拍手を送った。
エース前田悠伍主将(3年)の父孝博さん(48)は「よく投げたと思う。相手が一枚上だった。まずは『お疲れさん』と言ってあげたい」とねぎらった。