急増する空き家や所有者不明土地を防ぐため、国の政策が転換点を迎えている。誰が所有しているかを明確化するこれまでの段階から一歩踏み込み、今後は取得後の実態を継続的に監視し、適切な運用を促す新体制へと移行する。

相続登記の次は「利用」把握へ 国が描く新たな土地管理
空き家や所有者不明土地の増加を背景に、土地の管理や相続、登記に関する制度改正が相次いでいる。2026年にも、所有不動産記録証明制度が開始されるなど、制度整備が進む。これまでの主な法改正と、国の土地政策の動向を整理する。(加藤有里子)
制度整備の遅れも一因
所有者不明土地や、管理されない空き家が増える背景には、人口減少や高齢化だけでなく、これまで十分に整備されてこなかった土地制度の問題もある。
相続登記は長年、義務ではなく、所有者が住所を変更しても変更登記を行う義務はなかった。また、土地を取得した後、その土地がどのように利用・管理されているのかを継続的に把握する仕組みも十分とはいえなかった。
こうした制度上の課題もあり、相続後も登記されない土地や、所有者が分からない土地、管理されない空き家が増加した。国は近年、土地制度そのものを見直し、所有者を明確にするとともに、土地を適切に管理・利用するための仕組みを順に整備している。
制度後追い改め継続管理へ
これまで土地政策は、投機的取引や地価高騰の抑制などが重視されてきた。一方、人口減少となった現在、利用されない土地や管理されない土地をどうするかが大きな課題となっている。
国交省「有識者会議」提言を発表
8月7日、国土交通省は「土地の取得・利用等の在り方に関する有識者会議」提言をまとめた。3月に設置した同会議では、必要な手続きを取らない土地開発や、周辺環境に悪影響を及ぼす土地利用などについて、問題が深刻化してからでは対応が難しく、既存の土地利用関連法では十分に対応できない「法規制の隙間」もあると指摘した。
提言では、土地取引の届出対象面積の引き下げや、取得後に利用目的を変更した場合の再届出、届出対象外となる土地取引情報を把握するためのデータベース整備などを提示。不適切な土地利用については、土地の取引段階だけでなく、実際の利用段階でも行政が指導・監督できる仕組みに見直す方向性を示した。
一連の制度改正から見えてくるのは、土地を「誰が持っているか」だけでなく、「取得後にどう利用・管理されているか」まで継続的に把握する土地制度への転換だ。所有者任せだった土地管理を、国や自治体がどこまで把握し、問題が起きる前に関与できる仕組みに変えられるか。
国の土地政策はいま、大きな転換点を迎えている。

