動き出したヒガシ。イオン京橋跡地に暫定施設。「FULALI KYOBASHI」7.20オープン

暫定利用のグランドオープンを目指して工事が進むイオン京橋跡地

イベント広場やキッチンカー、屋台でワクワク気分を演出

 大阪・都島の京橋地区にある「イオン京橋店」の跡地を暫定的に利用し、イベント広場やフードホールなどを設けた「FULALI KYOBASHI」が7月20日にグランドオープンすると6月30日、イオンモールは発表した。オープンするのは1期として、イベントエリアや移動販売と屋台の3つのゾーンで、仕事帰りにも気軽に立ち寄れる場所の誕生となる。(若野正太郎、猪原ゆかり)

 大阪ヒガシのターミナルであるJR京橋駅(大阪市都島区)に直結し、京橋地区の飲食店街と大阪では有数のビジネス街であるOBP(大阪ビジネスパーク)を結ぶ地点に位置する「イオン京橋店」は建て替え再開発を目指し、2019年秋に閉店。その後、約1万4800平方㍍を有する広大な敷地が空き地となっていた。
 京橋地区は「都市再生緊急整備地域」に指定されており、大阪市の経済成長戦略上、「魅力とにぎわいのある複合的な国際拠点」として位置づけられている。このため再開発は周辺地域を含んだ大規模な整備が構想されており、エリア全体を一体化させたものにする必要がある。ということで、地区の他の関係事業者との調整やすり合わせには、まだまだ多くの時間を要することとなっていた。
 そんな状況が続いていることで、イオンモールは今年4月、跡地の「暫定利用」に踏み切ることを決め、事業内容の細部についての詰めや、アスファルト舗装工事や構造物の施設工事に取り掛かるなど、オープン準備を進めていた。
 
 20日にオープンする「イベント広場」は、約600平方㍍の芝生広場と大型LEDビジョンを備えたライブステージがあり、スポーツやエンターテインメントのイベントが観戦、観覧できるうえに、敷き詰められた人工芝では、くつろいで飲食することも可能だ。
 イベント広場のサイドに配された「屋台ゾーン」には、複数の飲食屋台が出る予定となっている。もちろん大きな〝京橋の魅力〞のひとつである「安くて気軽」を裏切らない店を展開させることで、仕事帰りに寄れる新しいスポットの登場として人気を呼ぶだろう。
 そしてイオンモールとしても新規事業へとつなぐ試みとして取り組むのが「移動販売ゾーン」。複数台のキッチンカーが並ぶことで、日ごとに異なったメニューのテイクアウトができるとあって、京橋で働く人たちのランチ需要を満たすゾーンとなっている。
 これは「PARADE MARKET(パレード・マーケット)」と銘打った事業で、この「FULALI KYOBASHI」や各地のイオンモールだけでなく、いろいろな地域と場所にも、数台の販売車がキャラバンを組んで巡回する〝パレードみたいな移動式マーケット〞を展開させようというもので、今回はその事業の実証実験の場となる。
 単独の移動販売よりも集客力が期待できるうえに、多岐なターゲット層にもアプローチを可能にする。しかも車両も出店場所もイオンモールが用意してくれ、出店者は商品を用意するだけ。イオンモールに出店するためには、通常、高いテナント料が必要だが、資金に不安を持つ個人事業者などにとっては魅力的だ。

今秋、フードホールも

 そして「FULALI KYOBASHI」では、2期として今秋ごろの開業を目指して「フードホール」の建設も進められている。暫定的な施設であるため、再利用を考えた部材を使った軽量鉄骨造のフードホールは、きれいで安い、おいしいをコンセプトにした、若い女性も入りやすい店舗が出店する予定となっている。
 京橋はJR学研都市線・東西線に大阪環状線、京阪本線、地下鉄長堀鶴見緑地線が乗り入れる大ターミナルである。20分圏にはトータルすると約25・2万人、約12・1万世帯が住むエリアを抱えているうえに、大阪城公園に近いため観光客も多いという、将来の再開発によって、さらなる発展に期待が持てる地区であることは間違いない。
 イオンモールも今回の暫定利用施設の開業について「将来の開発事業を推進するために、アグレッシブルなチャレンジを呼び込むことで、お客さまへの期待感の醸成やエリア周知を目的にプレ事業として実施」としており、「将来の開発の期待感を醸成する〝未来の光景〞を感じていただける場」と位置付けている。
 ところで京橋地区再開発の全体像は未だに纏まってはいない。イオンモールがモールの建設に向けて動こうにも、これではできない。全体の〝青写真〞を描くために、最も大きなポイントとなっているのは、JR東西線、学研都市線の京橋駅ホームとその前後に残る地上区間の地下化だろう。実はこの事業については、過去に国土交通省から着工準備へ「GO」サインが出されたものの、厳しい財政事情から「休止」になっていたが、現在は事業再開へと動き出している。
 また寝屋川の手前で寸切れになっている都市計画道路「玉造筋」を本来の計画通りに北へ延伸させるのかどうかも、地区の再開発にとっては、かなり大きな要素だといえるだろう。つまり京橋再開発にはまだまだ不確定な部分が多くて、どうなるのか見えてくるのは先のことと言わざるを得ないだろう。

フードホールのイメージ
屋台ゾーンのイメー
移動販売ゾーンのイメージ

片町裏側のにぎわいに期待

都島区商店会連盟会長 玉置 紘一さん

 京橋駅は大阪のディープな下町エリアとビジネス街を東西に結ぶ駅になっている。また、家族連れなどにも利用しやすいグルメ街や駅と一体になった京阪モールや京阪百貨店など、買い物からグルメまで常に多くの人が行き交い、京都の観光名所の玄関口にもなっている。大阪の下町風情もとことん味わうことができる。
 そんな中、片町エリアの裏側は、開発が遅れ、イオンも閉店し、外灯も少なく、暗く寂しいエリアになっていたため、公園ができ、人でにぎわうことを楽しみにしている。
 11月には体験イベントも行う予定で、9月から参加者募集も行うので、楽しみにしていてほしい。