納得できる「葬儀」とは? 〝人の要素が鍵〟

「費用より気持ちの整理を」

 「葬儀はお金をかければかけるほどいいのか」。エンディングライフサポート葬祭(大阪市阿倍野区)の担当者は、この問いに疑問を投げかける。同社が重きを置くのは、「気持ちよく送れたか」という、遺族の心の整理だ。しかし、葬儀は人生の「待ったなし」の非日常であり、情報を集めるのが難しい。

 広告の多くは、会場とパック料金の提示にとどまり、サービスの中身がなかなか伝わりにくい。「全国で一番使われている」などのうたい文句も、遺族にとっては判断の目安になりにくいのが実情だ。同社は、「葬儀は関わるスタッフの丁寧さや親身さといった『人の要素』が大きい」と指摘。遺族が故人と向き合い、納得できる儀式がどうかが最も大切だとする。

突然の事態に冷静な判断難しく

 多くの葬儀で、広告の表記金額だけで済むケースは少ない。例えば、火葬場の混雑により数日待つ場合、遺体の保全に使うドライアイスは一日一万円程度かかるのが一般的だ。葬儀は突然に訪れるため、日ごろから冷静に調べることが難しく、こうした料金設定を逆手に取る業者も一部に存在する。精神的に不安定な状況下では、冷静な判断が困難になりがちだ。

 納得できる葬儀にするためには、最初の打ち合わせでどこまでできるかを確認し、担当者との間に信頼関係を築くことが不可欠だ。

「自宅葬」という選択肢も

 ドライアイスの費用など、安置日数に費用がかさむ現状に対し、同社は「自宅葬」という選択肢を提案する。自宅での安置は、故人と共に過ごす時間を確保できるだけでなく、遺品整理を一緒に進められる利点もある。

 また、知人や専門家など、相談できる周囲のサポートがあるか否かも、心の支えとなる。ひと昔前はタブー視された「生前相談」も今はそうではない。心理的な壁はあるものの、トラブルが増える傾向にある異業種参入が多い業界の「今」を知り、選択肢を増やすことが、納得のいく看取りにつながる。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
https://endinglifesupport.com/

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