
淀川水系イタセンパラ保全市民ネットワーク(イタセンネット)は、淀川本流に沿った池状の城北ワンド群(大阪市旭区)で、4月から月2回実施してきた2025年度の外来魚駆除活動を11月16日で終えた。淀川水系で唯一生息してきた国の天然記念物の淡水魚・イタセンパラの成魚は、3年連続で確認できなかった。
イタセンパラは日本の固有種のタナゴ類で、寿命は約1年。城北ワンド群を含め、全国で3カ所しか生息していないとされてきた。市民団体や大学、行政、企業などが連携するイタセンネットは、イタセンパラを象徴として、多様な在来種が生息していた淀川の環境再生を目指し、在来魚を捕食するオオクチバスなどの外来魚を地引き網で駆除したり、ワンド周辺を清掃したりするなどの環境改善活動を続けている。
イタセンパラは06年に淀川水系全域で姿を消したが、城北ワンド群で採取した個体を施設で飼育し、13年10月に野生復帰を目指して放流。その後は自然繁殖により世代交代を重ねていたものの、23年以降は見つかっていない。

イタセンネット事務局長の元中学理科教諭で、中学生のころから56年にわたり城北ワンド群を観察している河合典彦さんは「イタセンパラ復活のめどがつかないのに、多くの人がかかわってくれているのが心苦しい。原因や対策を話し合い、来春の駆除活動再開に備えたい」と話している。(小泉健一)
