10月改正の波家計に追い風か逆風か 最低賃金は全国一律1000円超

 10月から最低賃金の過去最大引き上げをはじめ、子育て支援制度や物流・交通・食品の値上げなど暮らしを左右する改正が一斉に始まった。負担増の中、水道料金減免や外食チェーンの値下げも家計を下支えする。

育児とリスキリングを支援 10月から新制度スタート 

最低賃金 大阪は1177円に

 全国の都道府県で、最低賃金が1日から順次引き上げられる。全国平均の引き上げ額は66円と過去最大で、時給の平均は1121円。初めて全都道府県で時給1000円を上回った。引き上げ額が最も大きかったのは熊本県の82円。時給が最も高いのは東京都の1226円で、神奈川県1225円、大阪府1177円が続き、大阪は全国で3番目の高さとなる。一方で最も低かったのは高知、宮崎、沖縄県の各県で1023円だった。

柔軟な働き方制度が義務化

 改正育児・介護休業法により全企業に「柔軟な働き方の制度導入」が義務付けられる。対象は3歳~就学前の子を育てる労働者で、フレックスタイムや時差出勤、月10日以上のテレワーク、保育施設の設置やベビーシッターの手配・費用負担、年10日以上の養育両立支援休暇、そして1日6時間の短時間勤務制度など5つのうち2つ以上を企業が整備し、労働者はその中から1つを選んで利用できる。あわせて、3歳未満の子を育てる労働者に対しては制度の周知や利用意向の確認も必要となる。

教育訓練休暇給付金が新設

 1日から「教育訓練休暇給付金」がスタートする。労働者がスキルアップなどの教育訓練を受けるために一時的に仕事を離れる際、生活費を支援する制度。一定の被保険者期間がある人が対象、30日以上の無給休暇を取り教育訓練に専念すると、基本手当相当額が給付される。

飲料・食品の大幅値上げ自販機200円台突入か

 10月以降に値上げされる食品は加工食品や調味料など3000品目超にのぼり、昨年に続き家計を圧迫しそうだ。
 内訳では「酒類・飲料」が最も多く、2229品目を占める。大手飲料メーカー各社(コカ・コーラボトラーズジャパン、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園など)はさまざまなコストの継続上昇を理由に、10月出荷分からペットボトル・缶飲料を4〜35%程度値上げすることを発表。例えば、500㍉㍑の「コカ・コーラ」は税別180円から200円へ引き上げられる。自動販売機の飲料価格が200円台に突入する可能性が高い。

宅配便や電車運賃の改定も

 ヤマト運輸は1日から120サイズ以上の宅配便を平均約3・5%値上げ。例えば関東から関東へ140サイズを送る場合、これまで2190円だった料金が2630円になる。100㌢以内の荷物の値段は据え置き。
 また、京阪電車も同日から初乗り運賃を170円から180円に改定。通勤定期も値上げされる。

値下げ・家計支援の動きは?

 「値上げばかりでは気が滅入る」と言う読者のために、値下げの動きも調査した。
 牛丼チェーン「すき家」が9月4日より値下げを実施している。並盛は480円→450円、ミニは430円→390円と最大40円の引き下げ。値上げ続きの外食産業で、珍しい〝逆行値下げ〟だ。
 大阪市は物価高騰下の市民の生活を支援するため、10〜12月検針分に限り、1カ月の基本料金の水道935円・下水道605円を減免。標準家庭で月約1540円、3カ月で約4600円の節約効果が見込まれる。手続きは不要で、自動的に請求額から差し引かれる。

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