行政区選びが家計を左右する!? 〝大阪市〟に暮らすメリットを徹底解剖

 子育て・教育・住宅取得支援、さらに毎月の水道代まで、自治体による支出の差は意外と大きい。大阪市は国際的に注目される都市であると同時に、生活コストを抑えながら暮らせる街として、子育て世帯を中心に高い評価を得ている。物価高騰の今、大阪市に住むことで得られる具体的なメリットを整理した。

習い事を諦めない

 大阪市に住むことの魅力の一つに、手厚い行政サービスがある。とりわけ子育て世帯にとっては、暮らしを後押しする制度が数多く整備されている。その代表例が大阪市独自の取り組みで、小学5年生〜中学生の学びや体験を支援する「大阪市習い事・塾代助成事業」だ。経済的な理由で学びの機会が制限されないよう、月額1万円を上限に学習塾や各種習い事の費用を助成する。対象は学習塾だけでなく、スポーツや英会話、音楽など幅広い分野が含まれる。以前は世帯の所得制限があったが、昨年10月に撤廃され、家庭環境に関わらず、子どもが興味を持った分野に挑戦できる環境が整った。

 市内在住の森下さん(仮名)は「この制度がきっかけで5年生の娘が英会話を習い始めました。おかげさまで英検4級に合格でき、次は3級に向けて意欲的に取り組んでいます」と満足げに話す。

放課後も安心

 共働き世帯を支える取り組みとして、全ての市立小学校で「児童いきいき放課後事業」が実施されている。平日の放課後や土曜日、長期休業中に児童が安心して過ごせる活動の場を提供。小学生期における人間形成に大切とされる「一緒に遊びに熱中する」体験を通じて、児童が主体的に、たくましく生きる力を育むことを目指している。  

 豊中市から夫の地縁がある大阪市へ引っ越してきた濱中さん(仮名)は「いきいき」の充実ぶりに驚いたという。「豊中市では学童の利用料金が月7千円ほどかかっていましたが、大阪市では年額500円。見守りの範囲などの違いはありますが、共働きの私たち夫婦にとっては非常にありがたい制度です」と目を細める。

住宅購入の強い味方

 住まいの面でも支援がある。「大阪市新婚・子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度」は、初めて住宅を取得する新婚世帯や小学6年生以下の子どもがいる世帯を対象に、住宅ローンの利子を最大50万円(年間最大10万円×最長5年間)補助する。

 昨年、市内で新築マンションを購入した中村さん(仮名は)「住宅価格が高騰を続ける中で、利子補給があることで購入を決断できました。分譲マンションは賃貸に比べて設備が整っており、暮らしの質が上がったことを実感しています」とにっこり。なお、今年4月からは申込者の所得制限が撤廃され、より使いやすくなった。

府下最安値の水道料金

 最後に、意外に知られていない「大阪市に住むメリット」を紹介しておこう。それは、水道料金の安さだ。今年4月1日時点で府内43市町村の水道料金を比較したところ、大阪市は2112円と最も安い。府の平均は3039円で、その差は大きい。

 大阪市の水道料金はなぜ安いのか。同市水道局によると「大阪市が水道事業を始めたのは1895(明治28)年で全国の自治体の中でも4番目に早い。事業の草創期からダム建設や水路確保の投資を行い、柴島(東淀川区)、庭窪(守口市)、豊野(寝屋川市)の3カ所の浄水場を整備するなど、水道インフラの基盤を確立してきた点が大きい」という。毎日の生活に欠かせない水道料金が低く抑えられていることは、長く住む上での大きな安心材料になるだろう。

 大阪市の財政力指数はここ数年、0.92〜0.94で推移しており、全国平均0.48、府平均0.67を上回る。この安定した財政基盤を背景に、今後も子育て世帯を中心とした生活支援施策の継続・拡充が期待できそうだ。 

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