
スマートフォンなどの使用を、1日2時間以内に抑える―。愛知県豊明市は9月22日、「スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」を可決し、10月1日に施行した。家庭での会話や睡眠時間を確保することを目的とした全国初の試みで、罰則のない理念条例として、市民に使用時間の見直しを促している。
使用対象は「余暇時間」に限られ、仕事や学習での使用は除外される。市によると、9月22日までに電話などで358件の意見が寄せられ、およそ6割が反対だった。
この動きを受けて、本紙は読者から意見を募った。以下にその一部を紹介する。
〈反対意見〉
●今の時代、ニュースも携帯からなので厳しい(30代・女性)
●個人の問題なので条例にすることではないと思う(30代・女性)
●個人の権利で、政治的に縛るのは言語道断(70代・男性)
●ゲームなどを制限するのはわかるが、スマホ自体を制限するのはおかしい(60代・女性)
●自治体が住民に強制するほどの内容ではないと思った(30代・女性)
●実際に守る人は少なそう(20代・女性)
●家庭でルールを決めるべき。行政が干渉すべきでない(30代・女性)
●仕事や勉強で使用する場合もあるから、条例で制限しても意味がないのではと思う(40代・女性)
●時間うんぬんよりケジメが大事だと思います(70代・女性)
●高いスマホ代を支払っているのに、時間まで制限されるのはやりすぎ(20代・男性)
●理念を目指す法規だとは理解しますが、基本的には家庭教育の範疇であり、不要だと思う。(30代・男性)
●子供にはいいが大人には厳しいと思う(30代・女性)
●年齢や職種にもよるのではないかと思う(20代・女性)
●個人の、自由では(70代・男性)
●スマートフォンでの健康被害を防ぐことができる反面、個人の自由時間の使い方を尊重できていない、束縛していると考える。(10代・女性)
●具体的に時間を設ける事についてはいいと思います。しかし今までの生活が急に制限されていまう事についてトラブルに繋がらないか心配もあります(30代・女性)
●あくまで目安なので、強制力は無い(50代・男性)
●個人の自由を侵害すると思う(30代・女性)
●スマートフォンでの健康被害を防ぐことができる反面、個人の自由時間の使い方を尊重できていない。束縛していると考えます(10代・女性)
〈賛成意見〉
●自分自身がスマホの見過ぎを自覚しており、生活を見直すきっかけになると思う(30代・女性)
●家族で話す時間が増えるなら良いと思います(60代・女性)
●本来個人が管理するのが当たり前!ただ子供は、目への影響は必至で、周りが抑制する必要不可欠と思う(70代・男性)
●目安になっていいと思う(50代・女性)
●目や姿勢悪化予防のためにも良いと思う。条例で定められても、なかなかやめられないのではとも思う(30代・女性)
●条例が無いより、少しは抑制につながるかもしれない(40代・女性)
●子どもの視力への影響が心配。家庭で見直すタイミング(40代・女性)
●目安があれば健康に配慮できるので良いと思う(40代・女性)
●これを叩き台として議論が活発になることは良いことだと思います(50代・男性)
●高校生くらいまでは良いと思う(50代・女性)
●意図は賛同できるが、罰則も無く、時間制約だけしても意味があるのか疑問(40代・男性)
●本来個人が管理するのが当たり前!ただ子供は、目への影響は必至で、周りが抑制する必要不可欠と思う(70代・男性)
●ある程度は賛同(40代・男性)
●良い事だと思う。全国でやればいいと思う(30代・女性)
●人によっては仕事や生活面で一日に長時間使用する方もいてらっしゃると思うので少し短いのでは無いかな…と思います。ですが、子供のスマホ長時間使用対策になっているので良い点もあると思います(10代・女性)
●闇雲に時間だけ決めても実行できるのだろうか。自分自身の現在地を知り、どういう使い方をすることで、ストレスなく2時間という限られた時間の中でスマホを有効活用できるか、考える機会があると良いと思います(30代・女性)
●良いと思う(50代・女性)
賛否は分かれたが、アンケート全体では反対が6割を占めた。ただ、スマホの「使いすぎへの懸念」や「家庭で見直すきっかけになる」といった意見が、賛成・反対を問わず多く寄せられた。
こうした問題意識は国内外でも広がっている。香川県では2020年にネット・ゲーム依存対策条例が施行され、オーストラリアでも今年12月から16歳未満のSNS利用を保護者の同意なしに禁じる制度が始まる方針。ノルウェーやスペインなどでも、子どものネット利用制限を巡る議論が進んでいる。
スマホは今や生活に不可欠だが、その〝距離感〟を問い直す動きは世界的に広がっている。ルールを押しつけるのではなく、自分たちで考え、話し合い、納得して使う。「2時間」という数字が、その第一歩となるのかもしれない。
