万博の思い出を〝大人のぬり絵〟に 鶴見区・嶋田さん、64カ国を冊子化

完成した冊子を手に笑顔を見せる嶋田一子さん。ページにはスペインのフラメンコが描かれている

 大阪・関西万博を契機に、鶴見区在住の嶋田一子さん(67)が独自の「大人のぬり絵」シリーズを完成させた。全11冊、約70ページ建てで、万博に出展した独立館64カ国を題材にしている。

 嶋田さんは十数回にわたり万博会場を訪れた。「せっかく多くの国がこの大屋根リングの下に集まってくれたのだから、感謝の気持ちを何か形にしたい―」そんな思いから、訪れたパビリオンの国々を「大人のぬり絵」にするアイデアが生まれた。

 最初は自分が訪れた国だけを題材にしていたが、「世界中から来てくれているのに、自分の行った国だけでは不公平」と考え直し、独立館を構えた全64カ国を題材にすることにした。制作は今年7月から約2カ月間。1カ国につき10ページ構成で1冊に6カ国を収容、全11冊にまとめ上げた。

 各ページには、その国の文化や建築物、人物を題材にしたぬり絵に加え、日本語の説明と英文も添えた。ぬり絵を楽しみながら自然に異文化理解や語学学習にもつながる構成になっている。

 イタリア編では、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品やオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティ、ローマの名所〝真実の口〟をユーモラスに描き、塗り手が思わず〝クスッ〟と笑える画風に仕上げた。ポルトガルでは、リスボンの街並みやフランスのモン・サン・ミッシェル、スペインの闘牛士やサグラダ・ファミリアなどを盛り込み、実際に世界一周旅行を経験した嶋田さんの妹も「懐かしい」と喜んでくれたという。

 制作には生成AIも活用。チャットGPTには国の特徴や動植物、文化、食べ物などを指示し、イラストの案を出してもらった。嶋田さんは「チャットGPTは正確だけど少し遅い。ジェミニは速いけど意図通りでないこともあり、使い分けが面白い」と笑う。これを通して、今まで知らなかった国への興味がさらに深まり、学びも広がった。

 冊子はアマゾンで紙の書籍として販売中。文字は15ポイントと大きめで高齢者にも配慮した。世界編は11冊で各1600円、日本編は1冊1800円。「万博が終わっても、オリンピックなどの世界的催しを振り返るきっかけに、世代を問わず楽しんでほしい」と嶋田さんは話す。

 万博の余韻を「手元で旅する」形に変えた嶋田さんのぬり絵シリーズ。色を塗るたび、世界各国の文化や風景への新たな興味が広がっていく。

 詳細はアマゾンの「嶋田いちこ」サイト(https://x.gd/SDTpL)へ。

「大人のぬり絵」シリーズの一部。姫路城やリオのカーニバル、パリのマルシェなど、世界各国の文化や風景が精緻な線画で描かれている
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