
かつて国内外のマラソン大会に出場し、ボストンやロンドンなど数々の舞台を走り抜けた元マラソンランナー、福岡県小郡市出身の岡高光(おかたかみつ)さん(81)が、人生の節目となる年に新たな挑戦として福岡から大阪・関西万博会場までの徒歩の旅に挑んだ。
岡さんは6年前に心筋梗塞を発症し、現在も手足にしびれを伴う脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)と闘っている。走ることは難しくなったが「歩く」ことによる挑戦を選んだ。5〜6キロのリュックを背負いながら、毎日20〜40キロを歩いて移動するという過酷な旅に身を投じた。
出発は4月7日早朝。福岡県小郡市を出発し、一カ月後の5月7日昼過ぎ、見事大阪・関西万博の会場に到着。およそ625キロの道のりを、自らの足で踏破した。
到着時、岡さんの顔は達成感に満ち、晴れやかな笑顔が印象的だった。

「80歳になって、何ができるかを考えたとき、ちょうど大阪の万博が話題になっていて『行ってみよう』と思ったんです。体調や梅雨、暑さを考えると、実行するなら5月までが限界だと考えて、決意しました」と語る。
道中は順風満帆ではなかった。「土砂降りの雨と暑さが一番きつかった」と苦労をにじませながら旅を振り返る岡さん。その姿は多くの人に勇気と希望を与える。

「次の目標は?」という問いには「毎年、毎年考えるんですが……次は85歳かな。挑戦したい気持ちはあります」と、まだ模索中の様子。
「年齢を重ねると、見た目よりも体力がどれだけあるかが肝心」と話す岡さんは、毎日欠かさず入念なストレッチを行い、身体を整えているという。病を抱えながらもなお挑戦を続けるその姿勢は、多くの人々に生きる力を与えている。
