社会・政治

「病室の孤独に光を」 小児がん患者と家族のための〝メタバース交流空間〟が支援達成

 関西医科大学小児科学講座が主導して推進している、小児がん患者とその家族が仮想空間で交流できるメタバース「Emo-Link」の開発プロジェクトが、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で第一目標金額の500万円を達成した。

 このプロジェクトは、長期入院や治療により孤立しがちな小児がん患者とその家族が、時間や場所、体調に左右されずに安心してつながれる場を提供することを目的としている。​

 プロジェクトの中心人物である関西医科大学の大町太一講師は、15年以上にわたり小児がんの診療に携わってきた経験から、患者や家族同士のつながりが治療の励みになることを実感。​しかし、現実の患者会には参加のハードルが高いと感じている当事者が多く、さらには新型コロナウイルスの影響で対面の交流が難しくなったこともあり、メタバース空間での新たな交流の場の必要性を感じたという。

 「Emo-Link」では、アバターを通じてリアルタイムで会話ができ、患者や家族が気軽に交流しながら、情報交換や悩みの共有ができる環境を整える。​

 クラウドファンディングはAll-or-Nothing方式で行われ、目標金額に達しなければ資金は受け取れない仕組みだったが、多くの支援者の協力により第一目標を達成。​現在は、3年間の維持管理費を含む第二目標の800万円に向けて、引き続き支援を募っている。

 プロジェクトの開発段階から小児がん経験者やその家族が深く関わっており、自身の闘病経験をもとにしたアイデア出しなどで積極的にメタバースワールドの構築に貢献しているという。​その姿勢は、同じ境遇の子どもたちにとって大きな励みとなり、プロジェクトの意義をより深めている。​

 プロジェクトの詳細や支援方法については、4月28日までREADYFORのプロジェクトページ(https://readyfor.jp/projects/Emo-Link)で確認できる。​小児がん患者とその家族が、安心してつながり続けることができる新たな試みに、今後も注目が集まりそうだ。