大阪市は3月10日、一般競争入札による市有不動産の売却に関する一連の手続きに、インターネットを使って落札業者を決める電子入札を導入した。手続きの効率化を含むデジタルトランスフォーメーション(DX)化と新型コロナウイルスの感染拡大防止が狙いで、既存の市の行政オンラインシステムを活用する。財源不足から未利用地の売却を進めてきた経緯があり、市によると不動産売却に関する電子入札の採用は政令市では初めて。
市契約管財局によると、従来は入札参加申請書を来庁して提出し、入札書も開札日に入札室で投函(とうかん)する必要があった。入札保証金は小切手の持参を要し、開札時は多ければ100社程度が集まるのも課題だった。工事請負や物品供給などで導入事例があるが、不動産売却は対象外だった。
市が契約規則を改定したことで、参加者は入札書への押印が不要になり、現地見学会の申請もオンラインで手続き可能に。小切手での支払いも廃止した。行政側も印鑑の突合や入札保証金の還付などを省略できる利点があるという。
導入初日は午前10時から開札が行われ、八つの物件すべてが落札された。業者側が事前に交付された確認コードを用いて本人確認を済ませ、申請画面に入札金額を入力した。管財課の担当者は「押印の廃止は国の解釈を確認しながら進めた。参加者にとってもメリットは大きいのでは」と説明している。