コミュニケーションライター/黄本恵子
夫にやってほしいことがある時、手伝ってほしいことがある時、どう伝えていますか?やる内容は同じでも、伝え方次第で相手の反応も変わります。 今日は、夫に動いてもらう時の伝え方のコツについてご紹介します。
①Iメッセージを使う
何か頼むと断られたり、嫌な顔をされることが多い人は、命令・強制・指示のニュアンスが強い 伝え方をしていることが多いです。
ゴミ出しをしてほしい場合を例にとってみましょう。
「このゴミ出してきて」
この伝え方は、主語を明確にして表現すると、「(あなたは)ゴミ出ししてきて」となります。
このような「(あなたは)~して」「(あなたは)~しなさい」という伝え方を「YOUメッセージ」と言います。
YOUメッセージは、強制・命令・指示のニュアンスがとても強い伝え方です。人は誰しも、強制 や命令、指示されることに、嫌悪感を抱くものです。
協力を仰ぐのが上手い人は、次のように伝えます。
「このゴミ出してきてくれると、助かるんだけど」
こちら主語を明確にして表現すると、「ゴミ出しをしてくれると、(私は)助かるんだけど」と なります。
このような「(私は)~と思う」「(私は)~と感じる」という伝え方を、「Iメッセー ジ」と言います。
Iメッセージは、自分の気持ちや意見を伝えることを主としており、強制・命令・指示のニュアンスはありません。なので、相手は抵抗感を持ちにくく、こちらの頼みを受け入れてくれる可能性が 高くなる、というわけです。
②メリット/デメリットを伝える
相手にとっての「メリット」もしくは「デメリット」を伝えることも効果的です。 夫にトイレの便座を下げてほしい場合を例にとってみましょう。
メリットを伝える場合
「トイレの便座を下げると、金運が良くなるらしいわよ」
デメリットを伝える場合
「トイレの便座を上げたままだと、金運が下がるんですって」
実際に、「何度言ってもトイレの便座を下げてくれなかった夫が、メリットを伝えることで便座を下げるようになった」というお話を聞きました。
③『二者択一法』で伝える
人は2つの選択肢を並ばせると、その選択肢以外のことは考えなくなる傾向にあることが分 かっています。この性質を利用して伝えるのが『二者択一法』です。
休みの日に買い物についてきてほしい場合、「休みの日に買い物についてきて」と伝えると、「疲れてるから」「ゆっくり休みたいから」など理由をつけて断られる可能性が高くなります。
そこで、次のように伝えます。
「休みの日に買い物についてきてほしいんだけど、午前か午後だったらどっちがいい?」
買い物に行くことを前提にして「午前か午後か」の選択肢を差し出すことで、引き受けてもらいやすくなる、というわけです。
「これぐらい言わなくても分かるだろう」はトラブルの元!?
頼む時は、数量や時間などを具体的に伝えることも大切です。
以前、夫に「明日の朝食はトーストにするから食パン買ってきてほしい」ということをメールで 伝えました。そしたら夫はなんと10枚切りの食パンを買ってきました。私の中ではトーストとい えば「5枚切りか6枚切り」なので、びっくりしました。「これぐらい言わなくても分かるだろう」が招いたミスでした。
黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。