子ども・子育て支援改正法成立 児童手当の所得制限 12月支給分から撤廃

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 少子化対策の強化策や、財源を確保するための「支援金制度」の創設を盛り込んだ「改正子ども・子育て支援法」などの改正法が6月5日、参院本会議で可決・成立した。児童手当の所得制限がことし12月の支給分から撤廃されるなど、育児休業給付が拡充される。一方で、財源を確保するため、国民や企業から集める「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用が始まる。

新たな少子化対策盛り込む
政府 「2030年までがラストチャンス」

 改正法には、政府が昨年12月に策定した「こども未来戦略」に基づく新たな少子化対策が盛り込まれている。政府は、少子化に歯止めをかけるには、「若年人口が急激に減少する2030年までがラストチャンス」として、一連の施策を着実に進めていきたい考えだ。
 児童手当について、12月の支給分から所得制限を撤廃し、対象を18歳まで広げた。第3子以降は月額3万円に増額する。ひとり親世帯を対象にした児童扶養手当は、子どもが3人以上いる世帯で加算部分の支給額が引き上げられる。また、妊娠・出産した際に10万円相当を給付し、子どもが1歳になるまで親の国民年金保険料を免除する。このほか親の就労に関係なく3歳未満の子どもを保育所などに預けられる「こども誰でも通園制度」を創設し、26年4月から全国で保育サービスを開始する。

支援金事業と今後のスケジュール

「支援金制度」2026年度から徴収

 少子化対策強化の財源について政府は年間3兆6000億円が必要とし、当面は一部を国債で賄い、2028年度までに安定的な財源を確保するとしている。企業や国民から集める「支援金制度」の創設によって1兆円程度を捻出。このうち「支援金制度」は26年度から公的医療保険を通じて徴収が始まる。26年度は6000億円、27年度は8000億円、制度が確立する28年度以降は1兆円を集める計画だ。政府は医療保険の加入者全体では、1人当たりの平均月額が26年度で250円、27年度で350円、28年度で450円としている。
 政府は「社会保険の歳出削減の範囲内で構築する。支援金による実質的な負担は生じない」としているが、野党などからは「社会保障分野の歳出改革には限界がある。国民負担を招くのは明らか。事実上の増税だ」といった批判の声が出ている。専門家は「社会全体で薄く広く負担していくことが望ましい。政府は丁寧に説明をし、理解を求めていくことが重要だ」と述べている。