認知症リスク、環境改善で低下 大阪大が解析

 大阪大大学院医学系研究科の坂庭嶺人特任助教(公衆衛生学)らの国際共同研究グループは、〝子ども時代に社会経済的指標(SES)が低いが、その後改善した人〟が、最も認知症発症リスクが低く、また健康寿命も長いことが明らかになったと発表した。

認知症発症リスクの相対リスク

経済状況改善で認知症リスク減
大阪大9000人を調査

 大阪大学大学院医学系研究科の坂庭特任助教らの国際共同研究グループは、健康的な65歳以上の日本人約9000人を対象に、子ども期から現在に至るまでのSESとその後の認知症発症との関連を最新の分析技術を応用して評価。さらに、パターン別の認知症発症リスク・健康寿命の評価を行った。その結果、子ども時代のSESが低いものの、その後の人生でSESを改善した人たちが最も認知症発症リスクが低く、健康寿命も最も長いことが明らかになった。

 坂庭特任助教は「経済格差などの固定化が進む現代において、個人では改善不可能な子ども時代の健康への影響が逆転可能であることが示せた事は、非常に大きな成果だと思います」と話している。

ライフコースと健康寿命