なにわ食のラブストーリー なにわ食い倒れ「ささみ串」

なにわ食い倒れ「ささみ串」
ささみ(わさび)

 会社帰りにどうしても匂いに通せん坊され、〝メタボ〟が気になりながらも、焼き鳥屋に寄り道してしまう貴兄―。朗報である。国内外にFC店約500店舗を展開する「やきとり大吉」が今春から、ダイエット食品として女性陣から圧倒的な支持を受ける「ささみ」の串2種を、新メニューとして登場させている。

 訪れたのは、「大吉」では珍しく駅前に立地する「針中野店」(近鉄南大阪線針中野駅前)。従来の〝赤い〟イメージから、モダンな店舗の「白い」に刷新した府内1号店でもある。おやじ族だけでなく、馴染みが少なかった女性層を含めた幅広い客に対応した、同社が「第2の創業」と呼ぶプロジェクト(2030年7月末までに700店展開の予定)で誕生した店だけあって「4割が女性客。6人連れの女性グループや近くに駒川商店街があるので、買い物帰りになんて客も」と森田秀一店主が実直に説明する。

「客の食べる顔を想像しながら焼く」という焼き台に向かう森田店主
「客の食べる顔を想像しながら焼く」という焼き台に向かう森田店主

 ささみは脂肪分が少なく、低カロリーで、かつ高たんぱく。それゆえにヘルシー志向の客から「ないの」とリクエストされることが多かった。店長や地域マネジャーらが中心となって、3カ月かけて商品化させた。

 淡白な「ささみ」の串2種には、「ワサビ」と「おろしポン酢」で「アクセントを付けた」(中村秀治ダイキチシステム社西日本営業本部長)。火を通し過ぎるとパサつきやすい部位だけに、焼き加減が難しい。「お客のペースに合わせ、顔を思い浮かべながら丁寧に焼く」という森田さん。「強火でしっかり、ふっくらと」と神髄を吐露する。

ささみ(おろしポン酢)
ささみ(おろしポン酢)

「串打ち」

 鶏肉を串焼きにしたものが「焼き鳥」である。なぜ串に刺すのかについては諸説ある。小鳥(発祥は伏見稲荷参道の「雀の丸焼き」)を焼くのにも食べるにもよかった。また屋台での具合がよく、食べ歩きもやりやすかったなどと言われる。
 「串打ち3年、焼き一生」といわれる焼き鳥の技。「串打ち」が基本だ。均一に焼くために重要である。切り口が異なる肉片の形状や重さなどを考慮して刺す。下手をすると串がまわり、焼きむらのある焼き鳥になってしまうからだ。
 「焼き」については、最近では「自動串焼き機」も存在する。しかし微妙な技が必要な串打ちの機械化は難しく、今だ職人の手作業となっている。森田店主によると「毎日の仕込みの大半を〝串打ち〟が占め」、作業中は「焼き上がりを想像しながら刺す」という。

「串指し」…「焼きむらなく、ふっくら、おいしく焼き上げる」ためには「串指し」の技術が大切。
「串指し」…「焼きむらなく、ふっくら、おいしく焼き上げる」ためには「串指し」の技術が大切。

【メモ】「やきとり大吉・針中野店」 電話06(4392)7701/大阪市東住吉区針中野3-10-25/営業時間17:00~00:00(火~土曜で、日曜は23:30まで/定休日・月曜/運営「ダイキチシステム」(近藤隆社長)