住宅ローン10年固定金利 大手5行が引き上げ

住宅ローン10年固定金利 大手5行が引き上げ

 大手銀行5行が8月から10年固定の住宅ローン金利を引き上げた。日銀の金融政策の修正を受けたためで、今後さらに固定金利が上昇する可能性もある。一方、住宅ローン利用者の7割以上が利用しているとされる変動金利は、全行が2.475%で据え置いた。

【解 説】

 7月28日の日銀政策金利決定会合で長期金利の上限幅である0.5%を「めど」に、〝1.0%を事実上の上限〟とするYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)の修正、柔軟化としたためだ。

 住宅ローンの固定型金利は長期金利に連動する。今回の日銀の決定を受けて国内の債券市場では一時0.614%まで上昇(8月1日現在)し、9年ぶりの水準と並んだ。一方、短期金利に連動する変動金利は各行とも2.475%で据え置いた。

 今後の動向について専門家らは、「YCCの上限が柔軟化されたため、これに連動する住宅ローンの固定金利も上がる可能性もある」と話している。理由は、国内の債券市場は海外からも注目されており、長期金利の上限が修正されたことで国内の債券が売られやすくなり、さらに金利が上昇する可能性があるためだ。

 今回、YCCが修正された背景に日銀の植田和男総裁は、「23年度の日銀による物価上昇率の見通しが想定よりも上振れしたため」としており、23年度の物価上昇率を2.5%に上方修正している。発表であった0.5%を「めど」に1.0%を上限とする一見あいまいと思える政策の意図は、今後も物価の上昇が続くかもしれないという可能性を残しているためだ。それでも短期金利は据え置き、金融緩和を継続していく植田総裁の狙いは、凍てついた日本の賃金上昇に繋がるのを期待しているようにも見える。