空き家、過去最多の900万戸に 2023年の住宅・土地統計調査住宅数概数

総住宅数も一貫して増え続け、過去最高

 総務省が2023年の住宅・土地統計調査住宅数概数の集計結果を発表した。昨年10月1日現在、総住宅数は6502万戸となり過去最多。前回調査(18年)に比べ4・2%の増加で、これまで一貫して増え続けている。都道府県別に見ると、東京都が820万戸で最も多く、次いで大阪府が5・3%アップの493万戸だった。

5年前から51万戸増加

 総住宅数のうち、空き家は900万戸と、18年に比べ、過去最多の51万戸増。総住宅数に占める空き家の割合は13・8%となり、前回の調査から0・2ポイント上昇し、過去最高となった。
 空き家数は増え続けており、1993年から2023年までの30年間で約2倍。空き家数のうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」、つまり賃貸住宅、売却する目的で空き家となっている住宅、別荘などを除いた住宅の空き家は385万戸と、18年に比べ37万戸増加した。賃貸用の空き家は443万戸で前回調査に比べて10万戸増加している。

空き家数と空き家率の推移(1978~2023年)

 空き家率を都道府県別にみると、和歌山県、徳島県が21・2%と最も高く、次いで山梨県が20・5%。
 一方、空き家率が最も低かったのは沖縄県の9・3%で、埼玉県9・4%、神奈川県9・8%と続いた。全国平均は13・8%で、前回の調査より0・3ポイント上昇。大阪府は14・3%で前回(15・2%)に比べて0・9ポイント減少した。
 また、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率」では、全国平均が5・9%(前回5・6%)となった。高かった順では、鹿児島県が13・6%、次いで高知県が12・9%、徳島県及び愛媛県が12・2%となっており、西日本で高い傾向となっている。一番低かったのは東京都の 2・6%。大阪府は0・1ポイント増え4・6%だった。

賃貸用の空き家
 新築、中古に関わらず、賃貸のために空き家になっている住宅。空き家全体の49.2%。

売却用の空き家
 新築、中古に関わらず、売却を目的に空き家状態になっている住宅で、全体の3.6%。

二次的住宅
 週末や休暇を過ごすのための別荘や、残業などで遅くなったときに寝泊まりする家で、普段は人が住んでいない住宅。空き家全体の4.3%。

上記を除く空き家
 上記以外の人が住んでいない住宅を指し、相続や入院などの理由で長期不在になっていたり、取り壊しが決まっていたりする住宅。全体の42.8%を占め、近年最も増加傾向にある種類。

 社会問題ともいえる空き家について、国は法整備を行っている。15年5月に施行された「空家対策特別措置法」は、倒壊の危険性が高く、近隣に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」とし、行政による指導や勧告、解体など強制執行が行えるようになった。
 しかし、特定空家になってからの対応では限界があることから23年12月に改正。放置しておくと「特定空家」になるおそれのある空き家に対して、行政が「管理不全空家」として認定し、所有者などへ指導できるよう措置が強化された。

国内では空き家が増え続けている=写真はイメージ
国内では空き家が増え続けている=写真はイメージ

 川西市と連携して、空き家の相談を担うNPO法人空き家相談センター(宝塚市)の加藤薫相談員は「(同法は)危険空き家の対策で根本解決にはなっていない」と指摘する。「そもそも国の施策が新築物件を購入する際には融資して、中古では融資を下りにくくしている時点で、家があり余ることは目に見えている。ただ、空き家ローンを提供する銀行が増加するなど、少しずつ対策は進んでいるのではないか」(加藤相談員)

事前準備を行う「終活」が有効

 空き家の活用法としてカフェにしたり、民泊にしたり、戸建て賃貸住宅にしたりしているケースもあるが、現実にはほんの一部だ。加藤相談員は「川西市役所で月に1回、相談会をしているが、相談のうち、3分の2は売りたくても売れない物件。一つは所有者が認知症であり、後見人をつけて売却するほど売る価値がない場合。もう一つは相続人が複数人いて権利関係が複雑な場合」と明かす。
 このため、財産整理、相続・生前贈与の準備などを行う「終活」を啓蒙しているという。「早めに対策をしていくことで相続トラブルのみならず、空き家問題にも寄与することができる」(加藤相談員)。 
 住宅・土地統計調査住宅数概数集計は1948年以来、5年ごとに実施されており、今回で16回目。