上方落語の若手、と言えば米朝事務所や松竹芸能思い浮かべるが、吉本興業所属の若手噺家4人が、SPACE9(大阪・あべのハルカス近鉄本店内)で毎週2回開催の「ハルカス寄席」に9月から新加入することになり、記者会見で意気込みを語った。

NSC(吉本総合芸能学院)33期生で月亭遊方の弟子、希遊(37)▽同26期生で笑福亭鶴笑の弟子、笑利(41)▽大阪芸大落研元会長で笑福亭智仁の弟子、智丸(36)、六代桂文枝の弟子、三実(32)の4人。笑利は昨年の「上方落語若手噺家グランプリ」優勝、三実も同年の「NHK新人落語大賞」大賞で、上方では最も旬な若手の双璧。希遊もNHK「第1回あさわら〝まくら〟大賞」優勝、智丸も繁昌亭大賞新人賞を得ており2人に肉薄している存在。

吉本興業の若手芸人といえば新喜劇や漫才のイメージ強いが、同社の戦前勃興期には初代桂春団治が寄席人気を支え、戦後の苦境を乗り切ったのは三代目林家染丸と五代目桂文枝の頑張りから。そして一気にトップブランドと駆け上がる際にテレビで人気者になったのが笑福亭仁鶴と桂三枝(六代文枝)と、実は落語とは切っても切れない絆で結ばれている。
2014年にスタートしたハルカス寄席には、これまで32人のメンバーが在籍、落語だけでなく浪曲、講談、漫談もいてバラエティーに富む。1回の公演は1人持ち時間20分の出番3人で計1時間、30分の休憩後別の演者が同様に3人計1時間の2本立て。お盆や年末年始を除けば平日昼間開催で1公演1500円、2公演通しなら2000円と手頃。予約はなく全て当日券で売り切れ御免の気楽な編成が特徴。吉本所属の噺家の加入は鶴笑や桂かい枝ら中堅はいるが若手は今回の4人が初。

この日司会を務めた吉本の先輩、桂阿か枝によると「かい枝兄貴の推し。元々ここのメンバーは半分ぐらいが吉本・松竹・米朝の各事務所所属以外。香盤(出演順)も持ち時間も演者同士で話し合って決めるのがこの会のル-ルなので勉強になるはず」と太鼓判。
常設寄席で若手は出番順はもちろん演目や口演時間で自由度が低いだけに、全員が「創作にしろ古典にしろ、少し長いめのネタを試したい。落語以外の方とも一緒なので刺激になる」と楽しみな様子。
4人は9月に新メンバー顔見せ興行として、笑利(13日第2部)、希遊(14日同)、智丸(15日同)、三実(16日同)で初高座に挑む。
(畑山博史)