ここ数年歌謡曲・演歌界は新浜レオン、辰巳ゆうとに代表される〝第7世代〟と呼ばれる20代の男性演歌歌手がブームをけん引してきた。その彼らとはひと味違う男っぽい魅力で売り出しを掛けてきたのが、その一世代上の真田ナオキや中澤卓也、木村徹二といった30代男性歌手の面々。そこに割って入る勢いで独自色を出し台頭してきたのが伊達悠太だ。今年11月で38歳になるが、歌手を目指して北海道から上京したのが16歳の時だから既に20年以上たつ。下積みが長くプロデビューしたのは13年前。8年前に現在のテイチクに移籍し芸名も変えて再デビュー。ようやく日の目を見た。

これまでリズム感あふれる若々しい歌が多かったが、シンガー・ソングライター杉本眞人が書いた最新曲「逢えなくていいから」は切々と歌うバラード。去って行った恋人を想い出し、幸せだった時間を振り返る女性を伊達が見事に表現し、杉本から一発でOKが出た。「杉本先生に〝悠太はバラードに向いてる〟と言って頂けた。その言葉にようやく〝長い下積み生活は無駄じゃなかった〟と胸を張って言える気がしました」と珍しく表情を引き締めた。

このほど行われた「KOBE流行歌ライブ」ではまず着物姿で登場。「今年は昭和100年、先の大戦の終戦から80年の節目の年。そして8月は戦禍に散った多くの方々を慰霊する月ですから」と前置きして「九段の母」(1939年・塩まさる、戦後に二葉百合子が歌い再ヒット)を歌謡芝居として情緒タップリにセリフ入りで披露した。そしていつものスーツ姿に戻ると神戸出身の内海美幸が歌った昭和のヒット曲「酔っぱらっちゃった」を軽快に歌い踊り、いつもの笑顔で客席を回ってファンと握手で交歓。公演終了後はCDを自ら手売りしファンとの2ショット撮影会でもニコニコと愛きょうを振りまいた。

取材では「歌謡芝居は意外でしたか? 僕は小学校の頃から地元・北海道伊達市のスーパー銭湯などで着物で歌っていたので慣れてるんです。しばらく封印していたんですが、これからはライブの時に披露してお客さまに喜んでいただければ」と手応えをつかんだ様子。「杉本先生に〝男のちあきなおみになってほしい〟と言って頂けた。リズミカルな歌だけでなく今日のような歌謡芝居もレパートリーの中に入れてドンドン演じていきたい」と夢を膨らませた。

(畑山 博史)