食パン業界に新しい風 〝世界初!?〟薄さ4㍉まで食パンをカットできるブレッドスライサー

薄さ4㍉までカットできる「ブレッドスライサー HIROUMI」

 〝世界初!?〟薄さ4㍉まで食パンをカットできる「ブレッドスライサー HIROUMI」が誕生した。他業界の高い技術を転用したブレッドスライサーを開発したのは、精密機械保持工具の製造を行う「聖和精密工機」(此花区)と、モノづくりを最適化する「IMS JAPAN」(東住吉区)だ。2013年から巻き起こった、高級食パンブームにかげりが見える中、パン業界にとって救世主となるかもしれないと注目を集めている。

〝高級食パンのサンドイッチが食べたい〟妻の一言から始まる

 「なぜ、ここまで薄くできるスライサーを作ろうと思ったのか?」きっかけは、聖和精密工機の会長を務める廣海晟登(まこと)さんの妻が「高級食パンのサンドイッチが食べてみたい」という一言からだった。有名高級食パンメーカーに勤める娘婿の縁もあり、廣海家の朝は決まって食パンをいただく。
 高級食パンはスライスしてしまうと、表面がパサついてしまい食感や味が変わってしまうため、1斤や2斤(1本)で販売している店舗も多い。サンドイッチにするには、自分でスライスする必要がある。厚さが均等にならなかったり、途中で歪んでしまったりとこれがなかなか難しい。市販のスライサーを購入したものの、サンドイッチに適した薄さにできるものがなかった。
 同社の工作機械の分野は65%が自動車産業。近年の自動車業界はエンジンからモーター(EV)へと変革が進んでおり、先々は工作機械も減少する傾向になると感じていた廣海さん。そこで何か工作機械分野以外でも事業を確立すべく考案したのが食パンカッターだった。
 「鉄を切るとか、削るとか固いものを加工するのはお手の物。柔らかいものを切るのは本当に難しいと思ったが、まずはやってみようと決心した」と廣海さんは当時を振り返る。

IMS JAPANと聖和精密機械(廣海さん)

ないなら自分で作ってみよう

 開発にとりかかった頃(2019年)、行きつけの料亭で何気なくカキフライを注文すると、パン粉ではなく薄くスライスした食パンを揚げて巻いた状態で提供された。今まで食べたことのない食感で、パン粉ほど油っぽくなく、パンの甘みが残る風味にも驚いた。このとき薄く切った食パンは、さまざまな料理にも活用、展開できるとヒントをもらった。すぐに、刃物で有名な岐阜県関市の包丁店を訪ねて、パン専用の刃物をオーダーした。しかし、食パンは切れても、水分をたっぷり含んだ高級食パンは包丁にくっついてしまい、〝もっちり感〟があだとなる結果となってしまった。
 その後、スペシャリストがそろう「IMS JAPAN」の協力を得て、10回以上の改良を重ね、薄さ4㍉までスライスできる「ブレッドスライサー」が完成した。
 高級食パンの良さはそのままに、サンドイッチはもちろん、フレンチや和食、中華など料理をする人にとっても、アレンジの幅がぐっと広がる製品となった。販売時期は9月中旬を予定。価格は9万9000円(税込み)となる。

ブレッドスライサー HIROUMI
料理アレンジ例。巻き寿司のシャリ部分を代用しても食材との相性ピッタリ
クレープの生地をスライス食パンでアレンジ