共働き世帯や若い世代を中心に、調理で包丁を使わない「包丁キャンセル」が広がっている。タイムパフォーマンス(タイパ)を重視し、切る・洗う手間を省くことで自炊の負担を軽減。食品メーカーも新市場に注目する。(竹居真樹)

時短時代の新たな自炊術 若者、共働き世帯で「包丁キャンセル」の動き
包丁を使わない料理が、若い世代や共働き世帯の間で広がっている。効率や時短を重視する「タイパ」の意識が日々の食卓にも入り込み始めた。象徴的なのが、食材を切る工程そのものを省く「包丁キャンセル」という動きだ。

「仕事から帰ってきて、野菜を切って、まな板を洗って、包丁を片付けるだけでも負担に感じる。最初から切ってある食材なら、もう一品作ろうと思える」と大阪市北区在住のパート主婦は話す。
背景にあるのは、単なる手抜きではない。料理そのものが嫌いになったのではなく、切る、洗う、片付けるなどの細かな手間が、自炊のハードルになっているという。一つ一つは小さくても、忙しい生活の中では大きな負担だ。包丁を使わない選択は、自炊を続けるための現実的な工夫ともいえる。
こうした変化に、食品メーカーも動き出している。キユーピー(東京都渋谷区)は今秋、包丁やまな板を使わずに「おかず」を作ることのできる新商品ブランドを展開する。肉や野菜はあらかじめ使いやすい大きさに加工し、調味料もそろえる。フライパンや電子レンジで仕上げるだけで、食卓に一品を加えられる仕組みだ。
同社が見ているのは、料理好きだけではない。本当は家で食べたいが、準備や片付けが面倒で自炊から遠ざかっている人たちだ。担当者は「食品ロスを減らし、調理時間を短くし、家族や自分の時間を増やす。そこに新しい市場が生まれている」と話している。
かつては「手料理=包丁で食材を切ることから」と考えられてきた。しかし、暮らし方が多様化する中で、食の形も柔軟に変化している。包丁を使わない料理は手抜きではなく、忙しい時代に自炊を続けるための新たな生活スタイルになるのかもしれない。


Y世代:1981年~1996年(30~45歳) 、Z世代:1997年~2012年(29歳以下)
○調査手法/インターネット調査 ○調査期間/2025年10月10日(金)~10月13日(月) ○調査対象/20~74歳 女性既婚者 1500人
