AIに仕事を奪われるのか? 危機感は世界共通

 AIの進歩が目まぐるしすぎて、ついていくだけでも大変な世の中になってきている。先週からシンガポールからの客人を迎えていろいろと話をしているが、同国や周辺国でもAIに関する状況は日本とそう変わらないようだ。
 メディア関係の仕事をしている人たちなので、油断していると足元を救われかねず、あっという間に仕事が消えてなくなったり、無用の人材になってしまったりするかもしれないと気を揉んでいるようだった。
 咲き乱れる桜の花をみて、それをバックに自撮りした写真を指先一つで編集し、見事な一枚に仕上げてSNSにポストした後に、「こんな作業、以前ならプロにお願いして何時間、何日もかけてやっていたのに、今は指先一本でほんの1分足らずで完成してしまう。それもかなり高いレベルで」と自虐的な話も飛び出した。
 AIの進歩と社会への影響、特に仕事を奪われるかもしれないと心配する状況は世界共通で、日本だけの問題ではないことがよくわかる。
 それに対してどう準備するのか、対応策を立てられるのかということが分かれ道になるのだろう、と皆が同意したのも面白かった。
 これまでのやり方では通用しないし、だからと言って以前のように「こうしたら成功できる」という方法がある訳でもない。とにかくAIにふれて、特性を見抜き、使いこなすことで自分の強みを見つけたり、AIでできることを見極めて自分の仕事に生かしたり、新たなビジネスを構築する人が勝者として生き残っていくのだろうと強く感じた。
 日本で当たり前だった安定した企業に入社して長く勤めるという生活モデルはもう限界にきている。海外に比べてリスクを取らない考え方や、起業して自分でビジネスをやる人が少ない日本。世界と競争して打ち勝っていくには、このような現実がかなり足かせになるかもしれない。
 大層な話のように聞こえるかもしれないが、これは大企業や資金力のある企業だけの話ではない。先日、定期的に行くタイマッサージの店でAIの話になった。まさかタイマッサージにAIは関係ないだろう、と思っていたら、「予約システムとそれに連動した集客システムに掲載する広告をAIで作れるようになり、業務が効率化したので、その分、施術に集中できるようになった」そうだ。
 「なるほど、そういう使い方もあるのか」と感心した。ヒューマノイドにマッサージはされたくないと思ったが、そういうことではなかったわけだ。これこそ誰にでもAIを利用できる良い例ではないだろうか。
 このような時代を生き抜いていくためには、思考を柔軟に巡らし、創造性を豊かにし、人一倍優れたコミュニケーション能力や対人スキル、論理的な思考力を身につけていかないといけないだろう。

【プロフィル】米ニューヨーク州立大ビンガムトン校卒業。経営学専攻。NY市でメディア業界に就職後、現地で起業。「世界まるみえ」「情熱大陸」「ブロードキャスター」「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、ディスカバリーチャンネルやCNAなどのアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。
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