4代目桂春団治、喜寿記念公演が開催決定

  7月に77歳になった上方落語協会・元副会長の4代目桂春団治の喜寿記念公演が11月8日に協会のホームグランド・天満天神繁昌亭で行われる事になり記者会見して意気込みを語った。

7月で77歳喜寿を迎えた春団治

 大名跡継いで7年、「私は春団治の名を後世に残すためにお預かりするだけ」「いずれふさわしい噺家に譲り、私は春翁を名乗る」と日頃から公言。いつの間にか彼なりの春団治像が確立されてきた。

 元々、繁昌亭では定期的に高座に上がっていたが、今回は元々上方落語発祥の江戸落語人情噺「たちぎれ線香」を口演する。大阪・船場の商家の若旦那が若い芸者と恋仲になり商いに身が入らない。聡明な番頭に諭され蔵に100日間幽閉され仲を絶たれた若旦那。久しぶりに置屋を訪ねると芸者は恋わずらいで亡くなっていた…という笑いどころが非常に少ないネタ。

 「自分で勝手に大器晩成、と言い続けてきた。結局、大器には成れなかったが歳だけ取って晩成したのかなぁ? 若い時からこの噺は好きだったが、師匠(三代目春団治)は扱っておられない。僕は米朝師匠や六代目(笑福亭松鶴)のご意見を参考に、上方から江戸落語に移った二代目桂小文治(初代春団治のおとうと弟子)のレコードを参考にして仕上げました」と話す。細部は春団治流に変えた部分も多い。「若い時は照れがあってこの噺を生真面目に演じられなかった。ようやくやれる年回りになってきた」と話す。

人情噺にこだわる背景を話す春団治

 記念公演には、料理はプロ級・春之輔(47)とカメラはプロ級・咲之輔(41)の2弟子が出演。更に師匠・三金が早世した桂笑金(33)と、華やかな襲名全国ツアーが同行者不祥事で全て流れた桂慶枝(64)を呼んだ。上方落語界でただ独り〝女道楽〟を演じる内海英華(65)も花を添える。「後に続く者を育てる責任がある。弟子はもちろん、慶枝と笑金は今年苦労しているからなるべく多くのお客さんの前で高座に立たせてやりたい。英華はたった独りで女道楽を頑張っているだけでなく寄席お囃子(はやし)の三味線もずっと続けてくれている噺家に取ってはありがたい存在」と話し、育成に力を入れる考えを示した。

春団治落語界のチラシ

(畑山 博史)

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