日常生活がいつの間にかゲームの世界に 進化系謎解き【ARG】が急拡大 大阪発「パーゲボコセプ」の魅力とは?

 現実を舞台にした進化系エンタメ「ARG(代替現実ゲーム)」が急拡大している。大阪市のIT社員が制作した話題作「パーゲボコセプ」は、リリースから10日で1200人がプレイ。日常と非日常が交錯する新感覚の謎解き体験として話題を呼んでいる。

WEB小説がゲームの入り口になっている

現実を舞台にした進化系エンタメ「ARG」が席巻

 近年、商業施設や観光地などを舞台に全国で広がりを見せている「謎解きイベント」。参加者が地図や手がかりを頼りに謎を解き進める体験型エンターテイメントとして定着している。そして今、この謎解きゲームの〝進化版〟として「ARG(代替現実ゲーム)」が大きな話題となっている。

ARGとは?

 ARGは「代替現実ゲーム」と呼ばれ、普段の生活の中で物語が進む体験が最大の特徴。現実の街並みやインターネット、SNSなどを通じて物語が展開し、参加者は物語と現実の境界を曖昧にしながら、従来のエンターテイメントにはない臨場感を生み出している。私生活を送る中で、いつの間にかゲームの世界に引きずり込まれている、という感覚が醍醐味だ。

わずか10日で1200人 大阪発・話題沸騰のARG「パーゲボコセプ」

 そんなARGの世界で、にわかに注目を集めているのが、大阪市内のIT会社に勤務する佐藤にほさん(32)が制作したARG「パーゲボコセプ」だ。

 今年10月6日に何の宣伝もせず、ひっそりとリリースしたにもかかわらず、わずか10日間で約1200人もの参加者を集める異例のヒットとなった。

ストーリーの入り口は「WEB小説」

 同ゲームの物語の入り口は、誰でも無料で投稿・閲覧できるWEB小説サイト「カクヨム」。物語は、毎日グチばかりで仕事嫌いだった彼女が、ある日を境に「労働最高」「最近、仕事が楽しいの」「働きましょう」と人が変わったようになり、LINE一本で別れを告げてくる異変からはじまる。

 参加者は、未だに彼女のことを忘れられず、ストーカーになってしまった彼氏に感情移入。別人になった彼女に何があったのかを調べるうちに「株式会社パーゲボコセプ」というワードにたどり着く。小説はここで終わるが、実際に検索窓にこの会社名を打ち込むと…という流れで、いつの間にかゲームに引きずり込まれる設計だ。

 ちなみに「検索してはいけない カクヨム」と打ち込むと、「私がおかしいのか彼女がおかしいのか誰か教えてくれませんか——復縁希望」という同ゲームの入り口となる小説が出てくる。すでに10万PV以上読まれている人気作だ。

記者も絶賛 スリル満点の没入体験

 実際にプレイした記者は「予想以上に引き込まれた。何も知らずに、たまたまX(旧Twitter)で流れてきた投稿から参加していたら、おそらく夜一人でプレイするのが怖くなっていた」と没入感とスリルを話した。

複数のメディアを横断する新しさ

 「パーゲボコセプ」の面白さは、従来の「謎解き」の枠を超えている点にある。一つのWEBサイト内で完結する従来のARGとは異なり、小説サイトや企業のホームページなど複数のサイトにまたがり、さらにはSNSやメールまでが絡み合う。「なぜ」「誰が」「どうして」という推理の連続が求められ、パズルや暗号を解くだけに留まらない奥深さもある。

 こうした設計が、参加者を物語の登場人物の一人として没入させている。

余韻とリアリティーが残る体験

 「しかも、6日以内にクリアしなければ大変なことになる時間制限付きなので、その過程がスリリングだった。ゲームをクリアした後もスマホの通知が届くと、また〝あのメール〟が来たのではないかと身構えてしまう」と記者。ゲームのクリア後も続く余韻とリアリティーがARGの真骨頂と言えそうだ。

佐藤さん「まさかこんなに多くの人に遊んでもらえるとは」

 同ゲームを制作した佐藤さんは「仕事の合間に作ったゲームが、まさかこんなに多くの人に遊んでもらえるとは思ってもみなかった。もっとたくさんの人にプレイしてもらえたらうれしい」と話している。

参加者の声に隠された「謎」を解き明かせ

 最後に、下記は同ゲームをプレイした参加者の感想を原文のまま掲載したものだ。実はこの感想の中にも謎解きが含まれているので、答えを解き明かしてみてほしい。

【参加者の感想】
・検索したらサイトやXやamazonが出てくるのが面白い
・さいこう!これが無料で遊べてよいのか?
・クリアしたときの充実感で余韻にひたっています
・すごい!時間制限があるのがゲーム性を強めている
・ルール等わからないまま始めたが惹き込まれていた
・なんだこの遊び心がつまったサイトは!

※ヒントは各感想の頭文字

[取材協力]佐藤にほさん(パーゲボコゼプ株式会社/制作者)Eメール/official@argmatome.com

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