路上喫煙〝優先対策エリア〟を公表 大阪市、条例施行後の実態調査

大阪市役所

中間とりまとめで63カ所を優先エリアに指定、15エリアは補助金で喫煙所設置へ

 大阪市は、大阪・関西万博を契機に市内全域で路上喫煙を禁止する改正条例を施行してからまもなく8か月を迎える中、19日に条例施行後の路上喫煙の実態や喫煙所整備状況をまとめた「中間とりまとめ」を公表した。市は、路上喫煙対策の実効性向上に向け、分煙環境の整備など必要な施策を進めるための基礎資料と位置付けている。

 市によると、当初目標の140カ所を上回る188カ所の喫煙所を整備したものの、条例施行後も一部地域では路上喫煙が確認されている。市民からの苦情や通報、喫煙所設置の要望も相次いでいることから、環境局は人流データや喫煙率をもとに調査を実施。乗降客数が多い駅周辺や、過去に喫煙所整備が検討されたが未整備の地域、市民要望が多かったエリアなどを対象に選定した。

 その結果、路上喫煙が確認された63カ所(局選定49カ所、区選定14カ所)を「対策優先度が高いエリア」と位置付け、特に喫煙者数が多く、ポイ捨てや苦情が多発する中央区、北区、西区、浪速区、天王寺区の15エリアについては、令和7年度中に補助金を活用した喫煙所設置を進める方針とした。19日からは、対象エリアを限定した補助金募集15件が再開された。

 一方で、今回の報告内容については疑問の声もある。今次議会に提出された喫煙環境にかかる陳情は20件に上り、多くは喫煙所不足を理由とした追加設置の要望で、対象エリアは市内各所にわたる。また、大阪府飲食業生活衛生同業組合が実施した調査では、ポイ捨てワースト1は難波駅周辺とされているが、今回優先度が高い15エリアには難波駅が含まれていない点を不自然とする指摘もある。

 補助金募集件数が15件にとどまる点も課題とされる。市は1エリアにつき1個所の喫煙所設置を想定しているが、乗降客数が100万人の谷町四丁目駅と1万人の松屋町駅が同一扱いとなるため、根本的な課題解決には不十分との声がある。さらに、市内推定喫煙者数の算出ロジックには観光客やインバウンドは加味されておらず、府の受動喫煙防止条例による屋内規制の影響で路上喫煙が増加する可能性も考慮されていない。

 市は、令和8年度に本格的な対策を進めるとしているが、路上喫煙対策を巡る実効性の確保や、市民要望の多い中心地や空白地帯への対応など、今後の取り組みに注目が集まる。

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