コミュニケーションライター/黄本恵子
伝え方をほんのちょっと変えるだけで、改善すること、うまくいくことって案外多いものです。
子どもに何かしてほしいとき、あなたはどう伝えていますか?
お風呂掃除をしてほしい場合を例にとってみましょう。
「お風呂掃除をしてきて」
…こちらは一見、何も問題ないように思える伝え方ですね。
しかし、このような伝え方ばかりだと、子どもは反発心や抵抗感を抱くようになります。
「え~、めんどくさい!」「ヤダ!」「なんで私に言うの!?」
こう子どもに言い返されて、言い争いになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この伝え方は、主語を明確にして表現すると、「(あなたは)お風呂掃除をしてきて」となります。
このような「(あなたは)~して」「(あなたは)~しなさい」という伝え方を、「YOU(ユー)メッセージ」と言います。
YOUメッセージは、強制や命令、指示のニュアンスがとても強い伝え方です。
人は誰しも、強制や命令、指示されることに、嫌悪感を抱くものです。
では、どう伝えればいいのでしょうか? 協力を仰ぐのが上手い人は、次のように伝えます。
「お風呂掃除をしてくれると、助かるんだけど」
こちらの主語を明確にして表現すると、「お風呂掃除をしてくれると、(私は)助かるんだけど」となります。
このような「(私は)~と思う」「(私は)~と感じる」という伝え方を、 「I(アイ)メッセージ」と言います。
Iメッセージは、自分の気持ちや意見を伝えることを主としています。強制や命令、指示のニュアンスはありません。
なので、相手は反発心や抵抗感を招きにくく、こちらの要望をすんなり受け入れてくれる可能性が高くなる、というわけです。
YOUからIへの言い換え例
子どもに
「遅くなる時はきちんと連絡しなさい」→「遅くなる時はきちんと連絡してくれないと、心配だなあ」
配偶者に
「庭の草むしり、手伝ってよ」→「庭の草むしり、手伝ってくれると嬉しい~」
職 場 で
「今日はお客さま対応してください」→「今日はお客さま対応してくれると助かります」
今までYOUメッセージばかりだったかも…という人は、今日からIメッセージも取り入れて伝えてみてくださいね。
相手があなたのために動いてくれたときは、「ありがとう」「助かったよ」など、感謝の気持ちを伝えることも忘れないようにしたいですね。
人は、そもそも、誰かに「喜んでもらいたい」「役に立ちたい」「必要とされたい」という思いを潜在的に持っているもの。そして、「自分の存在を尊重してほしい」とも思っています。
小さな子どもでも、それは同じです。
Iメッセージとともに感謝の気持ちを伝えることで、子どもの心は満たされ、「喜んでもらえてよかった」「やって良かった」と思うことでしょう。自己肯定感も高く持てるようになります。
黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。