「我々の存在の真意とは?」という少しピンとこない言葉が示されているブラジルパビリオンだが、中に入るとこれがなかなか趣向を凝らした展示になっていた。
最初に館内に入って歩いていても、何が言いたいのかよくわからなかったので、館内にいたスタッフの方に尋ねてみたところ、色々と説明してくれたお陰で、その演出や内容に納得できた。
説明の合間に音楽に合わせて踊るスタッフの女性。ブラジルのノリだった。
パビリオンの正面のガラス面に、「パビリオンは2館ある」ということと「パビリオンは5章に別れている」と書いてあったのだが、その意味がよくわからなかった。しかしスタッフの説明で、表側のパビリオンの奥にもう一つ別の建物があることと、表側のパビリオンは約16分で完結する物語が表現されていて、それが5つの章で構成されいているということだった。
先に奥にあるパビリオンを説明すると、そこは黄色やゴールドカラーで統一されてたゴールデンルームとでもいえそうな、まさにブラジルといった空間になっている。
陽光やお祭りをイメージしているらしく、明るく、楽しく盛り上がろう、というのが伝わってくる。ここではフェイスペインティングなどができたり、ラッキーならランダムで配られるポンチョが貰える。
この部屋からすぐに映像を流している隣の部屋へ移動してしまうとそのまま表側のパビリオンに戻ってしまうのだが、実はこの部屋の奥にもう一つ部屋があり、そこではブラジルを紹介する高画質のビデオが大画面で放映されている。
ここは見逃さないように。
表側のパビリオンに戻ってみよう。ここでは先ほど説明した様に5つの章で構成されるストーリーが展開されていて、「存在する」「異なる」「合流する」「消え去る」「再び存在する」と説明されている。
これらを言い換えると、人間はこの世の中で動物や植物、自然と共存しているのに、自分勝手な行動をしているため、環境や自然を破壊している。その結果現在の世の中が崩壊し消え去るが、その後再び新たな生命が復活する、というようなことを言いたいらしく、自然や他者と共存しなければいけない、ということと、現状の人間への戒めのメッセージが込められたアート作品になっているのだ。
これらの内容を薄いナイロン生地のようなものでできた人形を空気で膨らましたり、萎ませたりしている。壁面のスクリーンに様々な表情の太陽を投影したり、レーザー光線やカラフルな照明、BGMに言葉、とあらゆる表現で来館者にメッセージを伝えようとしている。
パビリオンに入ったタイミングでストーリーのどの章にいるかはその時の巡り合わせなので、裏側のパビリオンへ行ったり、置いてあるイスに座ってリラックスしてタイミングを合わせるなどしてこのストーリーを一通り見てもらいたい。
ヌルヌルを作った落合陽一さんが「一番お気に入りのパビリオンだ」と言っているほどの作り込みのレベルだった。
数多くのパビリオンを見ているが、同館はポイントが高いと感じた。特にアート系に興味のある人は、イタリアパビリオンも良いが、ブラジルパビリオンは見るべきパビリオンの1つだ。
子どもたちには少し難しいかも知れないが、親御さんがアシストしてあげて、メッセージのコアな部分だけでも感じとっていってもらいたい。