「大阪だけじゃムリ!」 インバウンド最多で奈良と連携開始 大阪観光局

訪日外国人らでにぎわう大阪・道頓堀の一角。名物のカニ看板や万博モニュメントが立ち並ぶ

 大阪観光局は5月28日、定例記者会見を開き、4月のインバウンド(訪日外国人旅行者)が154万7000人となり、単月で過去最高となったことを発表。これまでの最多だった1月の153万5000人を上回った。溝畑宏理事長は「大阪だけで受け入れるには限界がある。周辺府県との連携が不可欠」と述べ、観光客の分散と域内回遊を促す新施策として、大阪・奈良を巡るセット券の導入も発表した。

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大阪の訪日客 過去最多 ホテル稼働率高止まり 郊外への宿泊分散進む

 国別では韓国22万1000人、中国41万2000人と東アジアが依然好調。欧米豪も堅調で、特にオーストラリアは前年比146%と大きく伸びた。2025年の年間目標1500万人を大きく上回る1700万人の達成も視野に入った。「実際に大阪のプロ野球や大相撲の会場でも、欧米豪の観客が増えている実感がある」(溝畑理事長)。
 一方で宿泊施設の稼働率は高止まり。2月時点で大阪が76・4%と東京(76・0%)を上回り、全国平均(60・2%)よりも高い水準。満室時にはカプセルホテルや民泊、郊外への宿泊分散も進んでおり、「枚方市や吹田市、高槻市などにも宿泊需要が波及している」と分析する。
 大阪単独でのインバウンド受け入れが限界となってきている背景から、観光局では奈良県と連携し「大阪・奈良楽遊パス」を展開。施設入場券に加え、5月30日からは大阪メトロ・大阪シティバス1日フリー乗車券、近鉄電車(大阪難波〜近鉄奈良間)2日フリー券とのセット販売(1万7200円)を開始。また、奈良南部の歴史・温泉エリア向けには、レンタカー付き周遊券も6月以降の販売を予定している。
 溝畑理事長は「大阪はゲートウェイ都市。奈良、京都、神戸、滋賀といった関西全体の魅力を楽しんでほしい」と強調。特に奈良の吉野、天川、川上村などには伝統文化や自然が色濃く残り、宿泊観光への転換が期待されている。
 さらに、ナイトタイムエコノミーの強化にも力を入れ、御堂筋のイルミネーションを深夜1時まで延長。万博来場者が夜も大阪を楽しめるよう都市型観光の魅力創出を図る。「特に欧米豪からの観光客は夜間消費の傾向が強く、大きなインバウンド効果が見込める」とした。
 記者との質疑では「カプセルホテルが1万円を超えるなど、国内観光客が宿を取りづらい現状がある」とし、奈良・兵庫などへの宿泊分散を引き続き促す方針も示された。
 また、大阪観光局がプロデュースする万博公式キャラ「ミャクミャク」と漫画「キン肉マン」とのコラボグッズ開発にも言及。溝畑理事長は「世界の観光組織は自ら収益を上げるのが常識。大阪観光局も自主財源確保を軸に活動する」とし、今後もイベントや商品の展開を積極的に進める考えを示した。

大阪の訪日客の現状について説明する溝畑理事長