ハンガリーパビリオン、国宝のマンガリッツァ豚を試食してみた

 「ハンガリーの誇り」とまで呼ばれるブランド豚のマンガリッツァ豚を使った料理の試食会とPRイベントがこのほど、ハンガリーパビリオンで開催されたので参加してきた。

 ハンガリーの農業大臣ナジ・イシュトヴァーン氏のスピーチの後、マンガリッツァ豚を使った一口サイズの料理が5種類振舞われた。独特の肉質と豊かな風味から、「豚肉の和牛」とも称されるハンガリーの在来種だ。 

 5種類のうち、トンカツが一番人気そうだったが、これはやはり日本人の食べ慣れた料理であることも影響しているようだ。ちなみにこのトンカツは日本のトンカツの影響を受けたものではなく、ハンガリーで普通に食べる料理の中にトンカツがあるので、そこからの着想だという。

 逆に日本を意識したメニューはマンガリッツァポーク寿司。こちらは普段から食べる料理ではなく、万博用にアレンジされている。 

 マンガリッツァ豚は、スペインのイベリコ豚と同じ系統で、広い敷地内で放牧されて育てられる。トウモロコシ、ドングリ、カボチャ、テンサイ、小麦といった自然飼料によって肥育されているので、赤身部分が多く、肉質は柔らかいのが特徴。コレステロールの原因となる飽和脂肪酸の量が少なく、オメガ3など健康に良い不飽和脂肪酸を多く含むため一般の豚肉よりも霜降りの率は高い。 

 また肉の色が赤褐色で濃く、牛肉に良く似た肉質なのも特徴。他にも一般の豚肉より40〜55%も多くのビタミン、チアミン、リボフラビン、更に亜鉛や鉄といったミネラルが含まれており、老化防止に良いとされる抗酸化酵素も多く含まれている。脂肪分が一般の豚肉より低温で溶けることも特色であるため、調理しても柔らかく仕上がる。 

 このような特徴を持つマンガリッツァ豚は、世界の美食界でも高く評価されている希少な食材で、ヨロッパ各都市の有名レストランでも使用されている。 

 今では国宝にまで登録されているマンガリッツァ豚は、品種改良により1833年に生み出されたハンガリー固有の希少種の豚で、20世紀初めには約1千万頭が飼われていたが、1991年には191頭まで激減てしまった。その後は国を挙げての保護策で絶滅の危機を免れ、2017年には5万頭程度に回復している。

 日本国内ではマンガリッツァ豚は北海道などで飼育され、ブランド豚として出荷されている。