
条例施行から数カ月、著名人からの支援申し出にも進展見られず
大阪市内全域で路上喫煙を禁止とする改正条例が施行されてから4カ月が経過した。さらに、飲食店などの屋内喫煙を規制する受動喫煙防止条例の完全施行からも2カ月が経ち、公共空間における喫煙環境は大きく変化している。しかしこの一方で、喫煙所の整備が追い付かず、市民や事業者からの不満の声が根強く上がっている。
5月23日に開かれた大阪市会建設港湾委員会では、喫煙所整備を求める22件もの陳情書が提出された。市会議員からは、空白地帯での喫煙所設置の必要性や、補助金制度の再開・拡充を求める声が相次いだ。大阪市側は従前と同様の慎重な姿勢を見せつつも、空白地帯の優先整備エリア選定に向けた実態調査の中間報告を夏頃にまとめ、その後速やかに令和7年度の補助事業募集を開始する意思を示した。
こうした中、喫煙所不足の現状に独自のアプローチで対応しようとしているのが、総合格闘家で実業家の朝倉未来氏である。4月には私財を投じて新コンセプトの喫煙所「SMOKING DOWN」(大阪市北区曽根崎2)を開設し、大きな注目を集めた。同氏は自身のSNSで、今後も複数の喫煙所設置を目指す意向を表明しており、マネージャーが運営するSNSでも「大阪市と相談しながら進めたい」とする投稿が見られた。
朝倉氏が代表を務めるMAは、「5月上旬に大阪駅周辺やミナミ、アメリカ村などポイ捨てが多発するエリアを候補地として提示し、喫煙所を寄贈する意向を大阪市に伝えた」と回答。市側の反応については「非常に喜んでいただいたが、候補地の調整に関しては協議中とのことで、寄贈の時期は未定」としている。熱意ある支援の申し出に対しては、早期の対応を期待したい。
また、大阪・関西万博の会場においても、全面禁煙方針の中で来場者や関係者による喫煙行為が散見されたことから、主催者側は方針を転換。利便性と分煙環境の両立を図るべく、西ゲートに1カ所 、北側リング外に1カ所の喫煙所新設を計画している。都市全体の「共存共栄」モデルとしての分煙環境整備の必要性は、改めて浮き彫りとなっている。
大阪市が掲げる「喫煙者も非喫煙者も共存できる社会」の実現に向けて、喫煙所の整備は不可欠だ。市民、民間、行政が連携し、現実に即した柔軟で迅速な対応が求められている。