「夜の万博」強化へ BIEが午後11時閉場提案

光に彩られた万博の夜。会場は昼とは異なる表情を見せ、多くの人々がその魅力を楽しんでいた

 大阪・関西万博の閉場時間について、博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長が午後11時までの延長を提案した。これは5月17日、大阪府の吉村洋文知事との会談の場で示されたもので、「夜の万博」をより多くの人に楽しんでもらうことを目的とした提案だ。

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吉村知事「午後11時閉場は困難」
夜の万博に営業延長で応じる構え

夜空に咲く〝光の樹〟。大阪・関西万博の会場で披露されたドローンショーでは、無数の光が一体となって幻想的なツリーを描き、来場者を魅了した。
夜空に咲く〝光の樹〟。大阪・関西万博の会場で披露されたドローンショーでは、無数の光が一体となって幻想的なツリーを描き、来場者を魅了した。

 現在の閉場時間は午後10時。BIEは、夜間の来場者数を増やすためにイベントや照明演出を活用し、万博の滞在価値を高めたい意向だ。とくに午後9時半から実施予定のドローンショー後にも、飲食や土産購入などを楽しめる環境づくりが求められている。

 これに対し吉村知事は、5月21日の定例会見で、夜間のにぎわい創出には理解を示しつつも、「午後11時までの延長は労務管理や帰宅の問題があり現実的には難しい」と述べた。

 また知事は、現状では飲食店が午後8時頃、物販店も午後9時頃には閉店してしまい、ドローンショー終了後には利用できる施設が少ないことを課題として指摘。そこで日本国際博覧会協会に対し、閉場時間は午後10時のまま維持しつつも、飲食や物販の営業を午後9時50分頃まで延長する「折衷案」を提案したと明らかにした。

 吉村知事は「夜間に来場する人を増やすことは混雑緩和にもつながる」と述べ、午後からの来場や夜間チケット利用の促進にも期待を示している。

ナイトショー「アオと夜の虹のパレード」より。幻想的な演出が夜の万博を彩る
ナイトショー「アオと夜の虹のパレード」より。幻想的な演出が夜の万博を彩る