星野リゾートの関西プレス発表会が9月25日、大阪市内で開かれ、星野佳路代表はこれまでインバウンド(訪日外国人客)を後押ししていた円安が、円高基調になってきたことに危機感を示した上で、「来年4月に開幕する大阪・関西万博は、過渡期を迎える日本の観光産業にとって重要な役割を担っている」と強調した。
2011年以降のインバウンドの急増について、星野代表は「実力に伴った健全な伸び方ではない」と強調。「円安」と「ビザ発給の緩和」の2つが重なり、アジア圏からの集客が急速に伸びている見解を示した。
旅行消費額はコロナ前後の19年と23年を比べると、全体は27・9兆円から28・1兆円に増加。ただ、中身を見ると、訪日外国人客が4・8兆円から5・3兆円に成長する一方、日本人の国内旅行は若干減少している。
星野代表は「伸び続ける訪日外国人客の需要を下げないようにするにはどうするか、加えて、旅行消費額の全体の8割弱を占める国内需要をどう維持するかが重要」と話した。
また、大阪・関西万博が開かれる25年について、日本の旅行市場を支えた団塊の世代がすべて後期高齢者になり旅行参加率が落ちてくる懸念や、訪日外国人客の後押しになっていた円安が円高傾向になってきたことを取り上げ、「全体の観光産業が過渡期を迎える重要な年となり、万博は重要な役割を担っている。いろんな観光の課題に対してインパクトのある貢献ができるチャンス」と強調した。