
大阪・中之島のリーガロイヤルホテルは4月1日、ホテル名を「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」と改め、グランドオープンする。英IHGホテルズ&リゾーツが展開するコレクションブランドで、国内初の加盟。大阪・関西万博に合わせて全面改装も終え、インバウンドの取り込みを狙う。(佛崎一成)
135億円かけて全面改装も
同ホテルが創業90周年を迎えた1月16日に発表した。「ヴィニェット コレクション」はインターコンチネンタルホテルなどを運営する英IHGホテルズ&リゾーツの高級ブランド。リーガロイヤルホテルはすでに23年からIHGの予約システムと繋がったが、4月からは「ヴィニェットコレクション」のホテルとしてリストに加わる。
同コレクションの一員になるには「ポジティブな変化を導く」「思い出に残るリチュアル」「唯一無二のユニークな滞在を提供する」の3つの柱を持つ必要があるため、同ホテルは24年に営業を継続しながら約1年かけて全面改装に着手。1000室を超える客室やレストラン、ロビーなど総額135億円をかけて一新。90年の歴史と伝統を引き継ぎながら新たな魅力を備えた。 また、宿泊部のユニフォームは大阪出身で世界的なデザイナーのコシノジュンコさんが新たに手掛けた。4月のグランドオープンから着用する。

中川智子総支配人に一問一答
ホテルの歴史やアイデンティティーを継承
ー開業90周年を迎えられた。これまでの歩みを振り返ると
前身の新大阪ホテルは「賓客(大切な客人)のために大阪にも迎賓館を」という政財界の熱い思いで1935年に開業した。地上8階(地下2階)建ての211室で、日本で初めて冷房を備えたホテルだった。65年に現在の場所に移るときはホテル名を新聞で公募。9万通の中から「大阪ロイヤルホテル」という名称に決まった。73年にはタワー棟のイーストウイングが開業。そしてIHGホテル&リゾートが展開する日本ではまだ馴染みのない「ヴィニェットコレクション」に加盟し、大阪・関西万博を迎えることになる。
ー「ヴィニェット コレクション」の加盟ホテルは、「ポジティブな変化を導く」と「思い出に残るリチュアル」「唯一無二のユニークな滞在」の3つの柱を提供している
地域社会との関わり、地元文化へのコミットを大切にする「ポジティブな変化を導く」の部分では、地域の支援を必要とする子どもたちの自立を促す教育や文化活動のプログラムの提案を考えている。具体的には、今春子どもたちをホテルに招いてテーブルマナーを学びながら人生の門出を一緒に応援していく。
一方、旅の思い出として、土地の文化に根差し特別なサービスを提供する「思い出に残るリチュアル」の部分では、チェックインのときに宿泊者が選んだ音楽がロビーで流す仕掛けを考えている。
ー135億円をかけた大規模改装の全ぼうは
2024年1月から進めている1000室以上の客室の全面改装については3月に完了する。レストランでは、当ホテルのグランメゾンとなる「レストラン・シャンボール」の改装を昨年8月に終え、「オールデイダイニング リモネ」も5カ月間閉店して初の全面改装に取り組んだ(昨年12月に開店)。ホテルの顔でもある1階のメインロビーは、開業当初の面影は残しつつ、世界からお客様を迎えるためのしつらえに変えた。
ー改装のテーマは
当ホテルは日本を代表する建築家の吉田五十八さんが手掛けた。和洋折衷の文化、融合を大切に設計されており、改装の際には、そのレガシーを尊重した。大阪の生活や文化に大きな影響を及ぼした水や川をテーマに、伝統美と水の融合を目指した。
ー具体的にどのように表現したのか
象徴的なのはロビーとレセプション(受付)だ。床一面に敷かれた日本最大級の豪華なじゅうたん「万葉の錦」は、これまで利用客に愛されてきたこともあり、そのまま継承した。艶やかな鳥模様の金蒔絵が施されたロビーの柱は、4面のうち2面だけをそのまま残し、残りは鏡張りにして周囲の景色やレストランを映し、空間のつながりを持たせた。

一方、レセプションには西陣折りの屏風を正面に配置。お客様の心を尊重して迎える屏風の精神をホテルのおもてなしの心と重ね合わせた。
客室にも水とのつながりを取り入れた。床一面に広がるじゅうたんは川に光がきらめくデザインで、まるでベッドが川に浮かんでいるようで、宿泊客に心地よい時間を過ごしていただける。
ー万博で大阪には訪日客も大勢訪れる
海外から多様なお客様の宿泊が予想されるため、フランス料理「THE RAY」は、動物性の食品や製品を一切使わないビーガンメニューを作った。ホテルレストランでは初のフルコースで提供し始めている。