2022年に大阪府立高校に合格した生徒の入試平均点が、大阪府教育センターから発表された。前年の2021年入試は、新型コロナウイルスによる休校が長引いたことでテスト範囲が大幅に削減されたが、今年はすべての範囲から出題され、全体的に合格者の平均点が上昇した。
参考:令和4年度大阪府公立高等学校入学者選抜学力検査(一般入学者選抜全日制の課程)における府立高等学校合格者の学力実態調査
上位校で出題されるC問題は例年、数学の平均点が他教科に比べて大きく落ち込むが、今年は国語(約60点)、数学(約59点)、英語(約62点)と得点バランスが良くなった。これまでのように〝数学ができると入試に有利〟という状況はなくなってきたかも知れない。
※大阪府教育センターの「令和4年度大阪府公立高等学校入学者選抜学力検査(一般入学者選抜全日制の課程)における府立高等学校合格者の学力実態調査」をもとに本紙が表にまとめた。表示の平均点は90点満点で換算
※英語のピンク部分はリスニングについての概評
価値ある英検2級の得点保証
大阪の公立高校入試は5教科(国数英理社)で行われるが、国数英の3教科にのみ、A(基礎)、B(標準)、C(発展)と難易度の異なる問題が用意されている。どのレベルの問題が出題されるかは受験する学校によって異なるが、B問題を扱う高校が例年、70%弱と最も多い。一番難しいC問題を採用しているのは北野や天王寺、大手前など文理学科を設けるトップ10校をはじめと、15%ほどの上位校だ。
合格者の教科別平均点については、文字ではわかりにくいから上の表にまとめてある。大阪府教育センターが発表したデータは100点満点で換算していたため、現実の入試と同じ90点満点で再計算している。
▲今春の府立高入試問題の一部(数学Cと理科)
以前に「全国一難しいと言われる大阪の数学C問題」について記事にしているが、今年は塾関係者が「例年よりやさしかった」と口をそろえるように、合格者平均も59.49点と、ここ数年で最も高くなった。
数学C問題の過去の平均点を見ると、16年度は39.78点、17年度は25.74点、20年度は37.17点と、他教科との平均点の差が2倍近くになる年もあった。つまり、数学が得意なら差を付けやすい状況だったということだ。
しかし、今年は得点バランスが良くなり、その優位性は徐々に薄れてきているのかも知れない。
数学のC問題をさらに細かく見ると、90点満点のうち半分の配点がある大問1の計算問題で、今年は平均得点率が8割以上となった。例年、大問2、3は難解な図形問題が控えているため、大問1でケアレスミスをなくし、確実に得点しておくという受験戦略が定着してきたのかもしれない。
英語のC問題も、合格者平均はここ数年で最も高くなった。とはいえ、72点の得点保証がもらえる英検2級取得者のラインには届いていない。
つまり、英語のC問題で得点を稼ぐよりも、英検2級で得点保証を得る方が、お得であるということだ。
すでに、上位校であればあるほど英検2級以上を取得して入試に臨んでおり、北野高校や天王寺高校は受験者の8割以上に上っている。
英検の受験活用の状況をくわしく知りたいなら、過去の記事が参考になると思うので、リンクを貼っておく。>>トップ10校の受験に「英検2級」が必要な理由