リバー産業 大阪市と新築分譲マンションの水害時避難ビル協定を締結

着工した「リバーガーデン千林大宮」の縮尺模型を背に語る河社長

注目を集める災害時を想定した先進的な防災マンション

 関西を拠点にマンション建設を軸に、緑豊かな街並みづくりを進めている、リバー産業(大阪市中央区久太郎町、河啓一社長)の災害時を想定した先進的な防災対策が注目を集めている。

 9月24日に大阪市旭区大宮の建設予定地で起工式を行った高層分譲マンション「リバーガーデン千林大宮」(地上20階建て、総戸数95戸、2026年7月に完工予定)でも大阪市と水害時避難ビル協定を締結。マンションの廊下などを含む共用部分を地域住民に開放し、災害避難所として活用してもらう方針だ。

 同社が災害時における被災者支援を目的に「津波(水害)避難ビル 」建設や防災関連施設の整備に力を入れ始めたのは、2011年の東日本大震災による津波被害がきっかけ。「防災対策は官民の協力が不可欠」という大阪市など自治体の呼びかけに応じて、積極的に自治体と「避難ビル協定」を締結している。

 最初に「津波避難ビル」の協定を締結したのは、東日本大震災直後に着工した「三国の川辺の森 リバーガーデン」(大阪市淀川区)。自治体に登録された、日本初の津波避難ビル(不動産経済研究所調べ)として注目された。また2019年に完工した、総戸数850戸の「リバーガーデン福島 木漏れ日の丘」(大阪市福島区)は、約4500人の被災者受け入れが可能で、「日本最大規模の津波避難ビル」として、話題を呼んだ。

 今回、着工した「千林大宮」でも、同社ならではのきめ細かな防災対策を計画。広場に設置された腰かけ板を外せば、即座に炊き出しかまど、として使える「かまどスツール」のほか、簡易トイレとして使用可能な災害対策用のマンホールトイレや、飲料水を供給できる小型造水機などを整備していく予定だ。

 また、同社のマンションブランド「リバーガーデン」では、災害時に自治体が設置する避難所と同レベルの強度「耐震等級2」を取得しており、近い将来の発生が心配されている、南海トラフ巨大地震に備えた防災対策にも配慮。河社長は「自然、人、建物を優先順にしたマンションづくりを進めており、時代の変化を見極めながら、防災面も強化していきたい」と話している。