【この習慣で対人関係はうまくいく!⑪】心の距離を縮めるほめ方

コミュニケーションライター/黄本恵子

心の距離を縮めるほめ方

 自分の良いところをたくさん認めてほめてくれる人と、ダメ出しや欠点をよく指摘してくる人…あなたはどちらの方に好感を持ちますか? やはり、ほめてくれる人の方ですよね。
 相手との心の距離を縮めるには、ほめることはとても大切です。とはいえ、人をほめることって、案外難しいものです。
 他人の未熟な点は放っておいても目につきます。ですが、ほめることは、相手をよく見つめていないとできません。相手に響くようなほめ言葉となると、なおさらです。
 良かれと思って伝えたほめ言葉が、それほど喜ばれなかったり、逆に相手を不快にさせていた…ということもよくあります。
 「ほめるのが苦手」「ほめ方が分からない」という人にポイントを2つ紹介します。

感謝の気持ちに置き換えて伝える

●「この会議の資料、よくできてるよねー」
●「いつも積極的にアイデア出してて、良いと思うよ」

 職場の同僚や先輩・あるいは上司から、このようなほめ言葉をかけられたと想像してみてください。

 「あんまり嬉しくないかも…」「なんか微妙…」と感じた方もいるのでは?
 これらは、『評価が入っている』『上から目線のニュアンスが強い』ほめ方です。たとえ立場や役職、年齢に差があったとしても、相手を不快にさせてしまう可能性がとても高いです。
 ここは、次のように言い換えてみましょう。
●「この会議の資料、分かりやすくて助かったよ」
●「いつも積極的にアイデアを出してくれてありがとう」

 ほめ言葉を『感謝の気持ち』に置き換えて伝えるのです。そうすることで、評価や上から目線のニュアンスがなくなります。相手の心理的抵抗が低くなり、受け入れやすくなるというわけです。
 さらに、「頑張って良かった」「やって良かった」と相手のモチベーションもアップします。

質問形式にする

●「今日のプレゼンも完璧でしたね!」
●「いつもすごくオシャレですよね~」

 このようにほめられたら、あなたはどう反応してしまいそうですか?
 あまりにストレートにほめ言葉を伝えられると、気恥ずかしさや謙\から、つい「いやいやいや!」「大したことありません!」「私なんか全然ダメです!」と否定してしまいたくなるもの。
 せっかく送ったほめ言葉を相手から全力で否定されてしまうと、その後の会話もなんだか気まずい雰囲気になりがちです。
 そこで、次のように言い換えてみましょう。

●「今日のプレゼンも完璧でしたが、○○さんは以前から話すのが得意なんですか?」
●「いつもすごくオシャレですけど、どんなところでお洋服買っているんですか?」

 ほめ言葉の最後を『質問形式』にすることで、相手の受け入れやすさが上がるだけでなく、その後の会話も弾みます。興味を持って聞くことで、きっといろいろ教えてくれるでしょう。
 「普段、あんまり人をほめていないかも」という方は、今日お伝えしたことを参考に周囲の人に伝えてみてください。
 また、日頃から、相手の未熟な面やできないところではなく、『良いところやがんばっているところ』に焦点を当てて見るようにすることも、心がけたいですね。会社組織、夫婦間、親子間…すべての人間関係において大切です。

黄本恵子(きもと けいこ)さん

黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。