Spyce Media LLC 代表 岡野 健将
3月8日は国際女性の日。世界中で女性のエンパワーメントやジェンダー平等を唱えてイベントやセミナーなどが開催された。日本でも「国際女性の日」を掲げた行事が見受けられました。私は、取材の関係で国際女性の日に関わるイベントを聞きに行ったのですが、そこで語られていたことは何とも言い難い内容でした。
日本の男女平等度はジェンダーギャップ指数によると世界平均を大きく下回り、毎年ラ ンクを下げて2023年は過去最低の125位。これは解決しないといけない大きな問題。
ではどうすれば解決するのか? 残念ながらそれを提案する人はいない。声だかに叫ばれるのは、「役員の女性比率が低い」や「給与格差がある」からもっと女性を登用しろ、というものだったりする。しかし、それを叫んだところで何も解決しない。このメッセージは一体誰から誰に向けて発せられているのか?普通に考えると女性から男性に向けられていると思われるが、本当か?
男女は、一人の人間としての基本的人権は同じであり、その点では男女は絶対的に平等であらねばならない。しかし、男性女性という生き物のグループでみた場合、それぞれに特性があり、差異は当然存在する。そこから男女においての向き不向きから来る違いがあってもおかしくないはず。そして男女の個々それぞれにまで視線を向けると、もっと様々な個性があり、みんな違うのが当然なはず。その結果として個人の能力や経験、向き不向き、興味や育った環境など様々な要素によって違った個人が出来上がっている。
それなのに、「男女は全てにおいて平等でなければならない」という大上段に構えた金看板で斬りつけても矛盾と反論しか生まないのではないか?
女性の役員クラスが少ないのは事実。人口比に対して男性が多過ぎると言う。しかし、役員クラスになる人材は、その会社や業界で長年働いて実績を残してきた人物なので40代以上の場合が多い。では会社内にいる実績を挙げている40代以上の男女比は果たして50対50なのだろうか?もしかしたら男女比は70対30や80対20と言う事はないだろうか?
ガラスの天井に挫折した女性もいるでしょうし、不当な扱いを受けてしまった女性もいるでしょうが、多くの女性はその年齢までに退職したり転職したりしている、ということはないのか?
社内の役員候補の男女比が80対20なら役員数もそれに沿った比率になるのは自然なのでは?
何が言いたいかと言うと、女性の役員数が少ないのは事実で問題ではあっても、その原因は、今声だかに叫ばれている先にあるのか?ということ。もしかしたらその解決策は、定年まで働く女性が増える事から始まるのではないか?現状、結婚したら寿退社して専業主婦になりたいという女性も相当数存在し、その選択肢は何ら否定されるものではない。そういうグループがいることも踏まえて定年まで働く女性が増える事で初めて役員になる実力のある女性の分母が増えて、結果として女性役員の数が増えていくのではないかと思う。
そうであれば、声だかに叫んでいるメッセージは男性にではなく女性に、特にこれからバリバリ長期間に渡って社会で働いていく女性に向けられるべきなのではないだろうか?
私は仕事柄広報スタッフと接点を持つ事が多いが、その90%は女性であり、数少ない男性スタッフよりも仕事の出来る女性が多い事を実体験で知っています。他にも同年代であれば男性より女性の方が優れていると感じる事は多々あります。ただ残念ながら彼女達はいつの間にか消えていってしまうのです。
男性側にも問題があり、変えていかなくてはいけないことは山の様にあるが、「女性」を楯に金看板を大上段に掲げたメッセージは残念ながら多くの男性には刺さらない。それを理解して解決策を模索しないと、この問題はいつまで経っても解決しない。