なにわ食のラブストーリー ユッケジャンクッパ 焼肉大衆酒場・真・肉焼屋新町堀江店

店頭に立つ三井社長(右)と冨上社長
店頭に立つ三井社長(右)と冨上社長

 待望の土鍋がおいしそうな匂いを伴ってテーブルへ運ばれてきた。目の前に置かれたのは、締めの「ユッケジャンクッパ(968円)」だ。水差し様のケトルを傾けた。細く長く、鶴の首のように湾曲した透明の管から、熱々のテールスープが注がれた。土鍋の中でご飯の弾ける音、勢いよくモクモクと立ち上がる湯気と、ふわっと広がる香ばしい匂い。スープを注ぎ終えるまでの数秒さえ待ち遠しいパフォーマンスの瞬間だった。

焼肉店の締めとして定着したユッケジャンクッパ
焼肉店の締めとして定着したユッケジャンクッパ

 若いサラリーマンが行き交う新町に2月中旬に登場した「焼肉大衆酒場・真・肉焼屋新町堀江店」は焼肉店3ブランドを関西で展開する「デホラン」(三井大虎社長・本社大阪市)の12店舗目で、「正富」が運営するFC店である。焼肉業界が大きな打撃を受けたコロナ禍。「売上が60%以下になり、さらに円安によるコストアップが重なり、従来からの人材不足、なかでも技術がいるカット職人の不足と、3つのマイナスに直面し、グランドコンセプトを見直した」とデホラン社の三井社長が振り返る。

 「焼肉大衆酒場」の基本路線は継続しつつ、肉をそれまでの米国産から国産牛、それもA5ランクのみに切り替え、カットした状態で店に持ち込むことに変更。コストダウンには「1頭の牛を余すことなく商品にして、ロスを削減する」から生まれたのが、「牛と豚の厚切りタン」や「新鮮厚切りレバー」といった人気メニューの締めとしての今回のクッパだった。

熱々のテールスープを注がれると湯気と匂いが広がる
熱々のテールスープを注がれると湯気と匂いが広がる

トッピング

 ビビンバや冷麺と並んで、焼肉屋の締めとしてすっかり定着した「クッパ」。クッパはスープにご飯が入った韓国料理の一種で、地方によって入る具が違ったバリエーションがいろいろと多い。「ユッ」は肉、「ケジャン」は犬肉のスープであるポシンタンを意味する言葉を合わせたものだが、犬肉をよしとしなかった人たちが「犬肉の代わりに牛肉を使ってケジャンクッのようにつくった」のが、この料理だ。ポシンタンは日本の「ウナギ」と同様に夏の強壮食品として、かつては盛んに食べられたが、現在は動物愛護団体などの批判もあって、表向きには名前を変えるなどして残る店はあるが、大きく減っている。

【メモ】「焼肉大衆酒場・真・肉焼屋新町堀江店」 電話06(6606)9520/大阪市西区新町1-7-18 グランデージビル1階/営業時間/平日17:00~23:00、土日祝16:00~22:00。定休日なし/運営「正富」(冨上博生社長)