ペットとの暮らしは認知症予防につながるか

医療・介護の連携を構築

 ペットと共に暮らすことができる住宅型有料老人ホームとして話題の「ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI」。開設当初から携わる提携医の岩本伸一さん(岩本診療所)に医療・介護の連携や動物と暮らすことで得られるメリットを聞いた。

「動物を飼育することによる認知症予防の研究結果を発表したい」と意気込む岩本さん

居宅介護支援センターを併設

 「高齢者が安心して暮らすためには、医療と介護の連携が不可欠です。この両輪が機能していないと、単なる  〝ペット飼育可マンション〟になってしまう」と話す岩本さん。半世紀以上にわたり地域医療を支え、東成区医師会の会長も務めるドクターだ。

 同ホームに居宅介護支援センターの併設を提案したのは、実は岩本さんだという。「医療は病気を治療する、介護は生活を支援する。それぞれの役割がある。医療は私と看護師で対応できるが、介護スタッフがいないと高齢者の暮らしは行き詰まる。今は元気でも介護が必要になる将来を見据えて、体制を整えておく必要があった」と振り返る。

必要に応じて居室での診察も行う岩本さん

医療・介護面や日常生活をサポート

 同ホームの入居者は自立、要支援~要介護までさまざま。岩本さんが週1回、訪問診療を行い、入居者の健康状態を把握する。介護が必要な場合は常駐のケアマネジャーが適切なケアプランを作成する。また、それぞれの入居者に担当のケアスタッフが付き、食事の声掛けや配膳・下膳・排泄介助などの日常生活をサポートしている。

 「我々は異業種からの参入で介護に関して無知な部分が多かった。居宅介護支援センターを作り、経験豊富なケアマネジャーを採用できたのは先生のおかげ」と感謝するのは同ホームの平尾泰久施設長。入居者の不安や憂いを取り除き、アクティブに健康寿命を延ばすことができる環境が整っている。

認知症の進行が緩やかに

 岩本さんが同ホームに携わる中で注目しているのは、動物を飼育することによる認知症予防の研究だ。海外ではいくつかの事例があるが、国内ではまだ医学的根拠に基づく文献は発表されていない。「ペットとの暮らしは散歩が必要だったり、食事を与えたり、世話をしたりと何かと頭を使う。入居者さんは一般の人に比べて認知症の進行が緩やかなことが見て取れる。もっとサンプル数が必要になるが、いつか研究結果を発表したいと考えている」と夢を語る。

敷地内のガーデンで散歩する入居者と犬

 同ホームではペット同伴での体験入居の他、無料のランチ付き見学会も実施している。気になる人は問い合わせてみては。

キャットウオークなどペットとの生活を前提に設計された部屋
外観

■ペット共生型有料老人ホーム(住宅型有料老人ホーム) ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI/大阪市東成区中道3−8−21/電話0120−011−179/9:00~17:00受付
https://php.peppynet.com