認知症や介護が必要な高齢者らが折った5万羽の折り鶴を飾った‟ツルナリエ“などを展示している「いのち輝く折り鶴JAPANパビリオン」が、大阪府門真市のイズミヤショッピングセンター門真2階に開設された。会場は折り鶴展示のほか、鶴を折りながら交流できるスペース、認知症について考えるコーナーを設け、万博のテーマ「いのち輝く未来社会」につながる空間となっている。認知症になっても輝けるまちを目指す、介護や福祉関係者、市民らでつくる団体「ゆめ伴(とも)プロジェクトin門真実行委員会」が企画した。
同企画は、コロナ禍による外出自粛が始まった20年4月、認知症の女性がデイサービスへ行けない中、娘から「折り鶴を作ろう」と誘われ、紙を折るうちに女性の表情が明るく、家庭内の雰囲気も穏やかになったことがきっかけ。同プロジェクト総合プロデューサーの森安美さんは「コロナ禍でも折り鶴を通じて、みんながつながれるのではないか」と、市内のさまざまな団体と共にプロジェクトを立ち上げ、6月には同市のルミエールホールで15万羽の折り鶴が展示された。
同団体は活動を世界に発信しようと、大阪・関西万博の公式企画「TEAMEXPO2025」プログラムの共創チャレンジに登録。「認知症になっても輝けるまちへ~100万羽の折り鶴と伴に~」という企画を立ち上げた。2021年12月にはドバイ万博日本館に大阪・関西万博をPRする「おもてなし折り鶴」2千羽を届け、人だかりができるほどの人気となった。その後、団体の活動が評価され、21年には政府の第5回ジャパンSDGsアワードで特別賞を受賞した。趣旨に賛同した東北や大阪府内の自治体、イギリスやフランスの福祉団体からも折り鶴が多数届いた。
森さんは「認知症の人らと地域をつなぐきっかけになり、小さな力でもみんなとつながることで可能性が広がることを実感した。全国に発展させたい」と意気込んでいる。
主催:ゆめ伴プロジェクトin門真実行委員会、イズミヤショッピングセンター門真、TEAM EXPO2025折り鶴JAPAN実行委員会