新型コロナ影響やわらぎ「うめきたエリア」の再開発、「大阪万博効果」期待感
大阪国税局は7月3日、相続税などの算定基準となる2023年分の「路線価」(1月1日時点)を発表した。近畿2府4県では新型コロナウイルスの影響で下落が続いていたが、新型コロナの影響がやわらぎ今年度は3年ぶりに平均0・7%の上昇となった。
府県別の平均では、去年と比べて△大阪が1・4%、▽京都が1・3%、▽兵庫が0・5%上回り、△滋賀が横ばいだった。一方、△和歌山が1・2%、▽奈良が0・2%下回った。
近畿で最も高かったのは大阪・梅田の「阪急百貨店うめだ本店」前で1平方㍍あたり1920万円で40年連続の最高額。「キタ」では、新型コロナの影響が落ち着き、買い物などをする人の流れが戻ってきた。それに加え、「関西最後の一等地」と言われるJR大阪駅北側の「うめきたエリア」で再開発が進められていることが価格を押し上げた。周辺エリアの福島区のJR福島駅前(+7・4%)、西区の大阪メトロ肥後橋駅付近(+7・1%)も最高路線価が上昇した。
大阪・港区の弁天町駅近くの弁天1丁目は、去年から10%の大幅な上昇となった。この要因は大阪・関西万博の会場や統合型リゾート施設(カジノを含むIR)が整備される夢洲まで地下鉄が延伸されることがあげられる。大阪のベイエリアの玄関口として存在感が高まり、マンションや商業施設向けの土地の需要が高まった。また、ミナミの戎橋ビル前の心斎橋筋(1平方㍍あたり1416万円)は去年まで2年連続で下落率が全国最大だったが3年ぶりの横ばいとなった。コロナ禍で激減した外国人観光客が徐々に戻ってきていることなどが影響し、底を打った格好だ。上昇率では、京都市右京区西院の阪急ビル前の四条通が最も大きく、去年と比べて10・8%上昇(1平方㍍あたり82万円)。専門家は「建物の高さ制限の緩和などが上昇の背景にある」としている。
わが家の土地価格を計算する方法
ところで、路線価は毎年この時期に国税庁が発表するが、国土交通省が春に発表する公示地価との違いは何だろうか。
国税庁の路線価は、その年の1月1日時点の主要な道路に面した1平方㍍あたりの土地価格のことで、相続税や贈与税、固定資産税の計算に用いる価格だ。もちろん、土地が今いくらなのかの目安にもなり、土地取引や金融機関の担保評価にも活用されている。
路線価は成約事例などを参考にして公示地価の8割程度に設定されている。理由はいろいろあるが、一つは1年の間に多少の景気悪化があっても許容するためだ。このため、路線価を1・25倍すればおよその実勢価格となる。
調査地点は公示地価や基準地価の約15倍と圧倒的に多いから、もし自宅の土地の時価を知りたければ、路線価に土地の面積と1・25倍を掛け算すれば、おおよその価格が分かる。