大阪歴史博物館・特別展「異界彷徨」 人知及ばぬ世界に焦点

 人知の及ばない世界やその住人たちにスポットを当てた特別企画展「異界彷徨(いかいほうこう)」が大阪市中央区の大阪歴史博物館で開かれている。人は天変地異や厄災をどのように捉え、理解しようとしてきたのか。「人々の生活を基層で支える概念」という視点で、民間信仰にかかわる器物や祈願品、妖怪を描いた絵画など約350点を展示している。6月26日まで。

 同館によると、異界とは1970~80年に広く用いられた言葉で、人の居る領域の「外の世界」を意味する。異界には、厄災をもたらす妖怪や悪霊、富や幸福をもたらす神や仏が住むと信じられてきた。

 同展では、人知の及ばない事象や自然への畏敬の念が生み出した怪異として、「百鬼夜行図」(明治時代)や「河童図」(江戸時代後期~明治時代)、「一角獣図(『一角纂考(さんこう)』)」(1795年)などを紹介。「芸能と異界」という視点から、能面や阿波人形、文楽人形の頭も展示する。

 また「死後の世界」に着目し、近代大阪で活躍した画家の菅楯彦(1878~1963年)が描いた地獄図「地こく変」(1908年)も見どころ。大坂七墓の一つ梅田墓があった「うめきた」エリアから多数発見された出土品なども並ぶ。

 担当学芸員の俵和馬さんは「人が生きていく中で生み出した技術としての異界、また不安に対抗するための異界を皆さんの足で歩き見つけ、自分にとっての異界を振り返っていただきたい」と話していた。

 俵さんによるスライドトークが27日、6月10日、6月24日に行われる。いずれも午後2時から(受け付けは同1時半から)で定員180人、聴講無料(常設展の観覧券もしくは半券提示が必要)。当日先着順。