中小企業大学校が万博視察交えた実践型研修

最先端の環境技術を学ぶ参加者たち。大阪ガス「カーボンニュートラルリサーチハブ」での視察=5月21日、大阪市此花区

 経営人材育成の専門機関である中小企業大学校関西校(運営・独立行政法人中小企業基盤整備機構近畿本部)は、視察と講義を組み合わせた特別研修「大阪・関西万博記念研修『未来の経営を考える!』」を5月20、21日の2日間、大阪市で実施した。中小企業の経営者や幹部を対象に、カーボンニュートラルの視点から未来志向の経営を考える内容で構成された。

 初日は、老舗企業の理念経営や、脱炭素に取り組む中小企業の実践、大阪ガスの事例などを通じて、環境対応を「コスト」ではなく「経営戦略」として捉える視点が示された。企業規模を問わず導入できる温室効果ガス削減目標(SBT)の考え方も紹介された。2日目は、大阪ガスの「カーボンニュートラルリサーチハブ」と大阪・関西万博会場内のガスパビリオンを視察。最先端の技術や企業の姿勢に直接触れ、講義の学びを具体的に実感できる内容となった。

 参加者からは「他では聞けない具体的な経営の話が学べた」「まずは自社のCO2排出量を算出してみたい」といった前向きな声が寄せられた。

 同機構の担当者は「日々の業務に追われる中小企業にとって、将来の経営を考える機会は少ない。万博という〝未来を見せる場〟と重ねることで、経営の視点をひらくきっかけになれば」と話し、今後も学びと体験を融合させた実践型研修を展開していく方針を示した。