アフリカのイメージが変わる、コンゴパビリオン(コモンズ館D)を訪れてみた

 コンゴは、アフリカ大陸の中ほどに位置し、国土が広く日本の約6倍。人口は1億2000万人程度で、そのうちの2000万人が首都であるキンシャサに集中しているので、都市部の発展は目覚ましく、道路不足や住宅供給が追いつかないほどの勢いで成長している。
 また、メディアを通して知るコンゴは内戦などで危ない国と思われがちだが、広い国土の中で戦禍があるのは東の端のほんの一部の地域のみで、それ以外は安全で普通に生活しているという。

 そんな同国のパビリオンに入ると最初に目を引くのがパネル写真。オシャレな格好をした男性の姿が写った写真があり、ここに写っている人たちは「サブール」と呼ばれている。サブールとは「お洒落で優雅な紳士たち」という意味。道理でカッコイイ人たちばかりな訳だ。「まさか同館で、ファッションセンスを問われるとは!」

 しかし、次の展示に目を向けるとまたイメージが変わる。そこには鉱物資源がショーケースに入って並べられていた。コンゴは鉱物資源が豊かで、ITやデジタル化が今後の世界の潮流だと考えると、とても魅力的でリッチな国になっていくだろうことが簡単に想像できる国なのだ。特にデジタル世界に欠かせないコバルトの生産量は世界全体の50%以上を占めていたり、どんな鉱物よりも貴重といわれるコルタンはほぼ独占状態。これらの価値に比べるとダイヤモンドも燻むほどなのだ。

 また、都市部に人が集中しているので、国土の80%は自然がそのまま残されている。そこには野生動物もたくさんいて、キリンの様な頭部、シマウマの様な縞模様、そして馬の様な胴体を併せ持つオカピという希少な動物も生息している。

 またアフリカ大陸における淡水の50%以上がコンゴ国内に存在するので、農業も盛んで、食料は豊富にあるという。

 都市部を離れてもスマホを持っている人は多く、平均年齢が16歳と圧倒的に若い。そのため、IT関係の人材育成にも力を入れていて、未来は明るいと考えられている。

 地方部では、中国が開拓やライフラインの供給に力を入れていて、地元民からはかなり感謝されている。距離の近い欧州諸国は勿論、インドや中東、そしてアメリカもコンゴに進出してきていて、今後急激に発展する可能性を感じさせられる。

 現在、日本からも一部の民間企業が首都キンシャサへの進出に興味を持っており、トヨタ車が多く走っているという。このほかにも「自動車の修理工場を作りたい」「2000万人の胃袋を目掛けて飲食店を出したい」「若者にIT教育を施してIT人材を育成したい」そして、「ウーバーのような配車アプリの開発をして、同所で運営したい」など具体的な案件があるという。時代はアフリカなのだ。

 どうしても日本はアフリカの国というとコンゴに限らず反政府軍やゲリラなど戦争のイメージや難民キャンプを想像しがちで、国策としての視点ではかなり出遅れている感は否めない。
 メディアによるイメージ操作に惑わされるのではなく、直接話を聞いたり、見たり、触れたり、体験したりできる機会が万博会場にあるので、そういう点もしっかり見て、聞いて、知ってもらいたいものだ。