地域まるごと観光体験<前編>
大阪・関西万博が開幕して以来、夢洲(ゆめしま)会場だけでなく、大阪の街全体がお祭りムード、いや、赤と青のミャクミャク色に染まっている。不気味に見えたはずのミャクミャクが魅力的に見えているあなたはもはや洗脳されているといっていい。
そんな万博。まずはガイドブックどおりに巡るとして、次はもっとディープにユニークに楽しみたいと考えるなら「新世界から始める旅」を提案したい。新世界と万博の意外な共通点を知ることで「知らなかった大阪」や「知られざる万博」に出会えるはずだ。(西村由起子)

大阪・関西万博の歴史は、今から122年前の「新世界」から始まった!
4月13日の開幕以来、日増しに盛り上がりを見せている関西万博。すでに大勢が来場しておりその前身である1970年の大阪万博と比較して語られがちだが、それ以前に、万博の呼び水となるイベントが行われていた事実を知る人は少ない。
そのイベントというのが、1903年に新世界で開催された「第5回内国勧業博覧会」だ。世界中の国々が最先端の技術や最新の文化を持ち寄り、産業の振興に寄与することで来場者に明るい未来を思い描かせると同時に、驚きや発見、感動を届ける万博と同じく、国を挙げての催事だった。
今回、そんな万博と新世界がつながっている事実を掴んだのが「OMO7大阪 by 星野リゾート」でご近所ガイドを務めるOMOレンジャーたち。かつて自身もOMOレンジャーとして活動し、現在は広報を担当する佐々木瑛美さんによると「新世界の歴史について調べてみると、今から122年前、同地で第5回内国勧業博覧会が行われていた事実や、その盛況を受けて、のちの大阪万博、今の関西万博の開催にもつながったことを知りました。
当時を知る地域の方々に相談してみたところ、貴重な個人所有物を貸し出してくださることになり、期間限定で、新世界と万博のつながりを感じていただける『EXPOつながって展』を企画しました」。
OMOレンジャーが聞き出した史実に基づいて構成し、入場券や案内図、場内早歩きマップなどの複写品と共に、往時の活況ぶりや来場者の期待感などを分かりやすく伝える『EXPOつながって展』。万博マエの予備知識として、万博アトの思い出の振り返りにもぴったりの企画展といえる。




展示デザインは、大阪デザイナー・アカデミー グラフィック・デザイン科の学生らが担当した。
「OMOレンジャー」主導のアクティビティに参加して、街も、万博も、200%楽しむ!


平成、令和の現代でこそ「新世界」は串カツに代表される大阪グルメが集結し、大阪のランドマーク・通天閣もそびえる人気観光地の一つだが、昭和の頃には大阪でも一、二を争う「ガラの悪い」場所として知られていた。
そんな「新世界」に新参者が溶け込み、信頼関係を築くという〝難しいミッション〟を成し遂げたのも、20代を中心とする6人のOMOレンジャーたちだ。
「来る日も来る日もご近所(新世界)に足を運びました。最初のうちは歓迎されていなかったかもしれませんが、観光客が増え、街に活気が溢れるにつれ、私たちの活動を喜んでくれる声も聞こえるようになり、親交が深まっていきました。今ではすっかり打ち解けてくださっています。おかげさまで私たちもますます胸を張ってお客さまを新世界へとご案内できるようになり、地域もろとも観光を盛り上げていくさまざまなアクティビティを提供することができています」。

OMOレンジャーが情熱を注ぐのは、お膝元である新世界の街に対してだけではない。開幕前より入念に情報収集を行い、今や日替わりでメンバーが会場へ足を運ぶほど万博に入れ込んでいる。そんな彼らが提供するコンテンツはいずれも魅力的なものばかりだ。
例えば、吉本興業とのコラボによって誕生した企画「ほれてまうわ、EXPO LIVE!〜大阪waraiのmirai編〜」。関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にも通底する「お笑い」は大阪人にとっては当たり前の文化であり大切なアイデンティティだが、観光客にとっては未知なる要素も多いもの。そこでOMOレンジャーは日替わりで登場するお笑い芸人と共に、掛け合いスタイルで、大阪のお笑い文化を紐解いていく。会場と一緒になって笑って学びながらも、もちろん、最新の万博情報を盛り込んでいくのもOMOレンジャーの大切な役回りだ。


「なにわってなんやねん講座〜マニアが語るEXPOの世界〜」では、世界中の万博を訪問した「万博博士」こと二神敦さんが登壇。これまでに訪れた博覧会の思い出話を皮切りに、関西万博で「体験しないとソンする」パビリオンやグルメ、そもそも「いつ行ったらいいか」など、個人的な感想を交えながら具体的に教えてくれる。「万博マエ」の人にとってはためになり「万博ツウ」の人なら二神先生の意見に心底共感できて楽しいことうけあいだ。
ちなみに、二神先生にとって万博とは「幻」との答え。半年間の期間限定という希少さと現地でしか味わうことのできない感動体験はまさに「夢」「幻」なのだ。



「ほないこか!」OMOレンジャーの号令を合図に、新世界へ繰り出す「ほないこか、ツウな新世界さんぽ〜EXPO Special〜。ホテルに戻る頃にはあなたも立派な新世界ツウだ。



OMOレンジャーと木津市場を巡り、なにわグルメに欠かせない出汁について学ぶ「ええだし出てますわツアー」も好評だ。合間にはショッピングや食べ歩きも可能。
70年万博にちなんだ「洋食文化×なにわ」の新感覚グルメは必食!
万博といえば、グルメの話題が欠かせない。70年大阪万博ではハンバーガーやアメリカンドッグなどのファーストフードが持ち込まれ、洋食文化が流行したと聞く。関西万博でもきっと新たな食文化が発信されるだろう。
そこで、新世界や万博とのつながりが深い同ホテルでも「懐かしいけど、どこか新しい」新感覚メニューを考案した。それが「OMOどてやきバーガーセット」と「OMOお好みドッグ」である。
いずれも1970年に流行した洋食文化をなにわ風にアレンジしたもの。「OMOどてやきバーガー」では、なにわグルメのひとつ・どてやきが、肉肉しいパテの上に鎮座する。サクサクと軽い食感のバンズに濃厚ソースと共に挟み込まれているが、存在感はハンパない。
一方の「OMOお好みドッグ」は、「串に刺して揚げたものは串カツですから」と同ホテル広報の佐々木さんの言葉どおり、大阪のコナモンのみならず、新世界の串カツ文化も意識して考案されたメニューだ。「遊び心溢れる見た目とネーミングだが、味は真剣そのもの。具材同士の掛け合わせが絶妙!」というのが記者の率直な感想である。OMO7大阪でしか食べられない期間限定の特別グルメなので、ぜひご賞味いただきたい。
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いかがだったろうか。大阪で55年ぶりに開催中の関西万博、閉会後に「行っておけばよかった」なんて後悔することのないように、一度ならず二度三度と遊び尽くして、万博とゆかりの深い新世界の街もまるごと楽しんでもらえたらと切に願う。
■OMO7大阪(おも)by 星野リゾート/大阪市浪速区恵美須⻄3丁目16-30
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo7osaka/