相愛ジュニアオーケストラ、コロナ禍以降初の海外演奏旅行へ

相愛ジュニアオーケストラ

 今年で創立68周年を迎える相愛ジュニアオーケストラが、コロナ禍を乗り越え、ついに海外演奏旅行を実現する。3月23日から31日の9日間、行き先はドイツ。リューベック、ハンブルク、ドレスデンなど3カ所での公演が決定し、50人のメンバーのうち、小学4年生以上の半数ほどが参加する予定だ。

 同オーケストラにとって初めての海外公演は、1986年のレニングラード(現在のロシア・サンクトペテルブルク)だった。その後も定期的に演奏旅行を行い、子どもたちに貴重な経験の場を提供してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、海外はおろか国内の演奏会すら開催が難しい時期もあった。それでも活動を止めることなく、国内では熊本などで合宿や演奏会を実施。集団生活を通じて演奏技術だけでなく、音楽以外の学びも大切にしてきた。

 今回のドイツ公演実現の背景には、指導を務める森田玲子先生の尽力がある。森田先生は自身の人脈を活用し、公演の機会を得た。「オーケストラの活動を通じて、社会性や公共性、多様な価値観を学ぶ機会を提供し、音楽を通じて何かを感じ取る経験を何より大切にしている。日本とは異なる環境で演奏することで、感性や音の表現も変わってくる。すぐには実感できなくても、数年後に『行ってよかった』と思えるような経験になるはず。子どもたちは今、ワクワクと緊張が入り混じった様子」と話す。

相愛ジュニアオーケストラを指導する森田玲子先生

 相愛ジュニアオーケストラの注目度は近年高まっており、相愛学園出身のヴァイオリニスト葉加瀬太郎氏との共演も決定。関西の音楽シーンを盛り上げる存在として期待される中、今回のドイツ公演はさらなる飛躍のきっかけとなりそうだ。

 「相愛ジュニアオーケストラの最大の魅力は、子どもたちが純粋に演奏を楽しんでいること」と森田先生。その音楽と姿でドイツの観客を魅了し、帰国後は一回り成長した姿を見せてくれるに違いない。

 なお、3月20日午後3時から、「相愛ジュニアオーケストラ ドイツ演奏旅行 壮行演奏会」が開催される(会場:相愛学園 本町学舎講堂、入場無料)。